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2020.11.13

日当支給におけるその他注意点

※2019年5月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

株式会社KACHIELの久保憂希也です。

金曜の本メルマガでは、前回まで3回にわたり
「日当」について解説してきましたが、
今回が最終回で、その他注意点について解説します。

まず、日当の大前提を確認しておきますが、
個人事業主の場合、事業主本人に支給した
日当は必要経費になりません。

事業主が出張等が多く、日当を支給することで
節税したいということであれば、
法人成りを勧めるしかない、ということです。

もちろん、社長1人の法人であっても、
社長に支給した日当は非課税となります。

また、前回までの解説の中で、交通費・宿泊費を
「実費精算」したうえで、別途日当(非課税)を
支給することを前提としてきました。

一方で、「交通費・宿泊費を込みにした日当では
どうなるのか?」「もっと高額支給できるのでは?」
と考える方も多いでしょう。

交通費・宿泊費を実費精算しない場合で
日当を支給しても、不相当に高額でない限り
否認されるわけではありませんが、
だからといって高額の日当を支給できるわけでも
ないと考えた方がいいでしょう。

先週も紹介した下記サイトにも、「宿泊料」
の調査結果としてこのように載っています。

「2017年度 国内・海外出張旅費に関する調査」
https://www.e-sanro.net/research/research_jinji/shanaiseido/shuccho/pr1710.html

「宿泊料を「全地域一律」(全員・全地域一律+役職・
資格区分のみ)とする企業における平均支給額をみると,
社長14,242円,取締役11,784円,部長クラス9,870円,
課長クラス9,291円,係長クラス8,929円,一般社員8,723円」

前回のメルマガと総合して考えると、
社長への日当としては

日当10,000円 + 宿泊費15,000円

あたりが、税務調査で否認指摘されない程度の
妥当なラインだと考えます。

また、日当支給金額の妥当性について調べると、
「4,000円」というものがありますが、
これは所得税基本通達28-1に規定する
「宿日直料」の非課税範囲であって、
外出をともなう日当とは別の考え方になります
(宿日直は外出をともなわない)ので、
区分して考えてください。

最後になりますが、非常勤役員へ支給した日当が
否認され、給与課税でも定期同額として
認められなかった裁決事例があります。
(平成27年4月27日裁決)

http://www.e-hoki.com/tax/taxlaw/8681.html

非常勤役員の場合、下記通達が適用になります。

9-5(非常勤役員等の出勤のための費用)
給与所得を有する者で常には出勤を要しない
次に掲げるようなものに対し、その勤務する場所に
出勤するために行う旅行に必要な運賃、宿泊料等の
支出に充てるものとして支給される金品で、
社会通念上合理的な理由があると認められる場合に
支給されるものについては、その支給される金品のうち
その出勤のために直接必要であると認められる部分に限り、
法第9条第1項第4号に掲げる金品に準じて
課税しなくて差し支えない。
(1)国、地方公共団体の議員、委員、顧問又は参与
(2)会社その他の団体の役員、顧問、相談役又は参与

非常勤役員に対する日当は非課税にならない
(給与課税になる)という論理ではありませんが、
役員会に出席するための交通費はいいが、
日当は支給できない、ということになります。

これは多くの公益法人に対する税務調査でも
否認論点になっているポイントです。

役員会・理事会への出席は出張ではないので、
実費弁償である日当は発生しないということです。

この点も併せて注意してください。

※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

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