日当等で課税されないための原則的な設定・設計
※2023年2月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
株式会社KACHIELの久保憂希也です。
節税策が考案されては、毎年のように税制改正で
それらの策が封じ込められる昨今において、いまだ
有効で効果的な方法として「日当」があります。
一方で、社労士が作成した規程を顧問税理士が
チェックしておらず、税務調査で源泉課税を
受けるケースもあり、さらには顧問先に対して
積極的に日当の設定・改訂の提案をしている
税理士・会計事務所であっても、税務リスクが高い
(もはや誤っている)規程を作っているケースまで
散見されますので、今回は税務上非課税とされる
日当(その他経済的利益を含む)について解説します。
まず税務上、非課税の要件を満たすための
日当設計について解説します。すでに
出張旅費規程などの社内規程がある顧問先の場合、
下記の要件を満たしているかを確認してください。
通達では日当の非課税要件を、下記の3つを
すべて満たす場合と規定しています。
[1] 役員・従業員の全員が支給対象になっていること
[2] 支給額が適正なバランスになっていること
[3] 他社と比して高額ではないこと
上記の記事にもありますが、日当の設定・設計を
するうえで最も重要なのは、「水平的公平性と
垂直的公平性」の両方を満たしていることです。
●水平的公平性
・役員のみならず全社員が日当支給の対象者
・出張先(距離別など)によって日当支給額を
変えるのであれば、役員のみならず
社員にも支給額の強弱を同じように設定する
(例)海外出張日当額を国内出張日当額の
1.5倍に設定するなら全員1.5倍など
●垂直的公平性
・役職によって日当額を変えることはアリ
(例1)役員・管理職・一般職の3区分
(例2)代表取締役・取締役・監査役など
・役職によって移動手段を変えることはアリ
(例)役員:グリーン車/社員:普通車
これが原則的な出張日当の設定ですが、
これらに加えて注意点がいくつかあります。
【注意点1】実費精算の方が得
宿泊費・日当に関して規程上、一律(一定額)で
支給しているケースもあります。いわゆる
「渡切りの旅費」ですが、これは実費精算より
経理処理等が楽になりますし、支給額が
相応である限りは給与課税が発生しません
(消費税含めて税務上のデメリットはありません)。
一方で、宿泊費を実費精算し、日当を規程額で
別支給した方が得になるケースが多いでしょう。
・「宿泊費+日当」をまとめて一律支給すると
合計額が日当額と判断され、日当額を
高めに設定することは難しくなる
・特に昨今はコロナ明けで宿泊費が高騰している
ことから、実質的な日当額が少額になる
経理処理が煩雑になりますが、あえて
宿泊費=実費精算、日当=別途支給という
設定・設計の方が手取り額は確実に増えます。
【注意点2】食事代は実費精算に設定しない
社内規程において、移動費・宿泊費とともに
食事代を実費精算としているケースもありますが、
これは給与課税の対象となるのでやめるべきです。
会社が支給する食事代については、
「本人が半分以上を負担+3,500円以下/月」
でなければ源泉課税の対象なるのは明白で、
かつ日当にはそもそも、本人が負担すべき
出張時の食事代が含まれると解されています。
出張時に顧客・取引先と会食したのであれば、
それは交際費の実費精算とすべき内容であり、
あくまでも日当の範囲内ではありません。
来週水曜の本メルマガでは、税理士事務所が
顧問先に日当の設定・改訂を提案するにあたり、
税務上で気を付けるべき点を取り上げます。
※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。
著者情報