更正の請求ができる要件・できない例
※2018年12月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
株式会社KACHIELの久保憂希也です。
今回は「更正の請求」について解説します。
当初申告の誤りに気付き、税額の還付となる場合、
更正の請求をすることになるわけですが、
どのような場合でも更正の請求ができる
わけではありませんので、注意が必要です。
なお、「当初申告要件」がある規定については、
そもそも更正の請求ができない場合もありますが、
これについては来週以降のメルマガで解説します。
まず、法律規定を確認しましょう。
(カッコ書きを除きます)
国税通則法第23条(更正の請求)
納税申告書を提出した者は、次の各号のいずれかに
該当する場合には、当該申告書に係る国税の
法定申告期限から5年以内に限り、税務署長に対し、
その申告に係る課税標準等又は税額等につき
更正をすべき旨の請求をすることができる。
一 当該申告書に記載した課税標準等若しくは
税額等の計算が国税に関する法律の規定に
従つていなかつたこと又は当該計算に誤りがあつた
ことにより、当該申告書の提出により
納付すべき税額が過大であるとき。(以下、略)
ですから、更正の請求をするには、
(1)法律の規定に従っていなかった場合
(2)計算誤りがあった場合
のどちらかに該当しなければなりません。
わかりにくいので、更正の請求ができない
ケースを具体的に取り上げてみましょう。
土地を取得した際には、下記の通達に基づいて
不動産取得税や登録免許税を損金計上することができます。
法人税基本通達7-3-3の2
(固定資産の取得価額に算入しないことができる費用の例示)
この通達の存在を知らず、土地の取得価額に
算入していた場合、後になって損金計上できることを
知ることがあります。しかし、その場合であっても
更正の請求をすることはできません。
(税額が還付されません)
なぜなら、土地購入の際の不動産取得税や登録免許税は
(1)土地の取得価額に算入する
(2)(通達にしたがって)損金計上する
の2つとも「正当な処理」なのです。
いったん採用した正当な処理から、別の正当な処理に
変更することは、上記の更正の請求の
要件を満たしていないのです。
つまり、結果として税額が減るのだとしても、
正しい処理方法から正しい処理方法への変更は、
更正の請求では認められないというわけです。
今回はここまでにして、次回は
もう少し更正の請求について掘り下げて解説します。
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