更正の請求ができる?できない??(所得税の具体例)
※2018年12月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
株式会社KACHIELの久保憂希也です。
早いもので、今年の営業日も本日で終了となります。
来年は元号の変更や消費税率のアップによって、
税務実務もかなりの混乱をきたしそうな予感です。
本メルマガも、今回で年内最終となりますが、
来年も税理士・会計事務所にとって
必須の内容を配信していく所存です。
引続き、ご愛読いただけますと幸いです。
さて、先週金曜のメルマガを前提として、
当初申告要件と更正の請求について解説しますが、
年明けは個人の確定申告ですから、
所得税における具体例を取り上げましょう。
当初申告において「寄付金控除」を受けていない場合、
後になって寄付金控除の適用があることに気付けば、
当初申告要件がありませんので
更正の請求をすることができます。
一方で、「寄付金控除」とは似て非なる
「政党等寄付金特別控除」(税額控除)については、
〇申告書に控除に関する記載がある
〇計算に関する明細書・証明書類の添付がある
場合に限り適用があることと規定されています。
(措置法第41条の18第3項)
「No.1260 政党等寄附金特別控除制度」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1260.htm
ですから、寄付金控除は更正の請求ができても、
「政党等寄付金特別控除」は更正の請求が
できないということになります。
また、「家内労働者等の特例」ですが、
一定の場合に必要経費を65万円に「する」という
規定であって、「できる」規定ではありませんし、
かつ確定申告書への適用記載要件はありませんから、
当初申告において適用がなくなっても、
更正の請求によって適用を受けることが可能です。
(措置法第27条)
「No.1810 家内労働者等の必要経費の特例」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1810.htm
なお、個人の確定申告のみならずですが、
確定申告書に控除を受けるべき金額等、
所定の事項を記載した場合に限り適用する
とされている項目については、原則として
更正の請求はできませんので、実務上
ここをミスったら取り返しがつきません。
申告書のレビューはここが必須になります。
今回は譲渡所得について取り上げませんでしたが、
譲渡所得は措置法の特例ばかりで、かつ
当初申告要件が厳しく規定されていますので、
特に注意が必要となります。
次回は年明けになりますが、
損金経理要件と更正の請求について
解説したいと思います。
※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。