更正の請求:提出期限(国税通則法の例外編)
※2022年2月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
株式会社KACHIELの久保憂希也です。
先週水曜の本メルマガから引続き、更正の請求の
提出期限を解説しますが、今回は国税通則法の
「例外」規定を取り上げます。
国税通則法第23条第1項では、更正の請求の
期限を「法定申告期限から5年」と規定している
わけですが、その「例外」については
ほとんど理解されていないように思います。
国税通則法にはこの続きがあって、第2項では
3つの例外(特例)が規定されています。
全般的には、いわゆる「後発的事由」があった場合、
5年の期限を徒過していたとしても、後発事象から
【2ヶ月以内】であれば更正の請求が
可能と規定されています。
●国税通則法第23条第2項第一号:判決等
「事実に関する訴えについての判決(判決と
同一の効力を有する和解その他の行為を含む。)
により、その事実が当該計算の基礎とした
ところと異なることが確定したとき」
債権債務・所得の帰属・遺留分など当事者間で
争いがあるケースで裁判を行っている場合、
判決もしくは和解があった時点で、当初申告から
所得・税額が減少すれば、判決・和解から
2ヶ月以内であれば更正の請求ができます。
なお、裁判所の関与なくなされた当事者間での
「合意」は本規定の適用がないとされています
(平成3年8月1日裁決等)ので注意してください。
●国税通則法第23条第2項第二号:他者への帰属
「帰属するものとされていた所得その他課税物件が
他の者に帰属するものとする当該他の者に係る
国税の更正又は決定があつたとき」
いわゆる「跳ね返り」による更正の請求です。
例えば、親子会社間の取引において、
当初申告の段階では親会社の負担としていた経費を、
税務調査で子会社が負担すべきものとして
更正された場合、親会社は増額更正になりますが、
国税は通常、職権により子会社に対する
減額更正は行いません(子会社は調査対象ではない)。
このようなケースでは、親会社が更正を受けた日から
2ヶ月以内に子会社は更正の請求をすることができます。
なお、「跳ね返り」による更正の請求は
各個別税法でも同様の規定がありますので、
来週の本メルマガで解説することにします。
●国税通則法第23条第2項第三号:その他
「やむを得ない理由があるとき」
第一号および第二号に該当しない場合の、
いわゆる「宥恕規定」です。
この規定に関しては、国税通則法施行令第6条
第1項第一号~五号に詳細が規定されています。
宥恕規定の適用はケースバイケースになりますが、
国税不服審判所の公開裁決事例では
下記の事例が取り上げられていますので、
併せて参考にしてください。
今回は、国税通則法に規定する更正の請求の期間の
例外(特例)を解説しましたが、来週水曜の
本メルマガでは、個別税法の例外規定を解説します。
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一切受け付けておりませんのでご留意ください。
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