更正の請求:法律上の要件
※2022年1月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
株式会社KACHIELの久保憂希也です。
明けましておめでとうございます。
今年もぜひ継続して本メルマガをご愛読ください。
さて、コロナ禍による税務調査の実施時期が
例年よりズレるなど大きな影響を受けており、
かつ年が明けて確定申告など実務で繁忙期に
差し掛かっていることから、今回から複数回は
常に質問が多い「更正の請求」について解説します。
今回は更正の請求における法律要件と、
わりとお堅い内容ですが、対税務署も含めた
実務的な内容も織り込みながら解説していきます。
まず、更正の請求を規定する法律から確認します
(カッコ書きを除きます)。
国税通則法第23条(更正の請求)
納税申告書を提出した者は、次の各号のいずれかに
該当する場合には、当該申告書に係る国税の
法定申告期限から五年以内に限り、税務署長に対し、
その申告に係る課税標準等又は税額等につき
更正をすべき旨の請求をすることができる。
一 当該申告書に記載した課税標準等若しくは
税額等の計算が国税に関する法律の規定に従つて
いなかつたこと又は当該計算に誤りがあつたこと
により、当該申告書の提出により納付すべき
税額が過大であるとき。
以上の規定から、更正の請求の要件は
●法律の規定に従っていなかった場合
●計算誤りがあった場合
の【どちらかを理由として】税額が過大となる
申告をしていた場合となります。
単純に「税額が過大であること」が要件ではない
ことは十分に理解すべきポイントです。
一言でいえば、「正しい処理内容である申告から、
正しい申告への変更は更正の請求ができない」
ということになります。
所得税の実務例でいうと、扶養親族を
所得(税率)が高い夫もしくは妻に入れ替えた方が
家族全体での税額が下がるケースがあります。
夫婦ともに年調済みなどで申告していなければ、
年調時の扶養を入れ替えるなど、
(当初)申告をすることができますが、
一方で、夫婦どちらかが申告していた場合、
更正の請求によって扶養の変更・入れ替えを
することはできません。
この論点は、上記更正の請求の要件のとおり、
「法律の規定に従っていなかった場合」または
「計算誤りがあった場合」を満たしていません
(扶養控除を入れ替える前も正しい申告)。
詳しくは下記の国税庁サイトをご覧ください。
「No.1181 納税者が2人以上いる場合の扶養控除の所属の変更」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1181.htm
「控除対象扶養親族の差替え時期」
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shotoku/05/33.htm
来週水曜の本メルマガでは、引続き
「更正の請求」の実務上の論点を
さらに掘り下げて解説していきます。
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