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2023.04.07

業務使用割合が明確でない家事関連費(法的理解)

※2022年4月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

株式会社KACHIELの久保憂希也です。

コロナ禍のなか、昨年の反動から今年の4~6月は
個人事業主の調査件数が増えることが予想されます。

つい先日も、下記のような調査事案に関して
質問・相談がありました。

・車両の必要経費性について否認指摘を受けた
・車両は実際にそのほとんどが業務に使用
・過去のスケジュールから運行簿を作成/提出
・提出した運行簿はETCの記録と齟齬があった
・調査官は「業務遂行上必要である部分を明確に
区分できていない」から必要経費にならないと指摘

今回のメルマガでは、上記のように業務使用割合が
明確にできない家事関連費の必要経費に関して、
法的な理解をきちんと整理して解説します。

所得税施行令第96条第一号から、
家事関連費が必要経費になる要件は下記2点です。

●主たる部分が業務の遂行上必要であること

●その部分が明らかにできること

ここで前者の「主たる部分が業務の遂行上必要」
であるかどうかは、50%基準が存在します。

所得税基本通達45-2(業務の遂行上必要な部分)
令第96条第1号に規定する「主たる部分が
不動産所得、事業所得、山林所得又は雑所得を
生ずべき業務の遂行上必要」であるかどうかは、
その支出する金額のうち当該業務の遂行上必要な部分
が50%を超えるかどうかにより判定するものとする。
ただし、当該必要な部分の金額が50%以下であっても、
その必要である部分を明らかに区分することが
できる場合には、当該必要である部分に相当する
金額を必要経費に算入して差し支えない。

上記通達が意味するところは下記です。

●明確に区分できる場合は50%基準に関係なく、
その割合によって必要経費にすることができる

●明確に区分できない場合は業務使用割合が
50%超であれば必要経費にすることができる
(あくまで業務使用割合分だけ必要経費)

以上から、上記調査事案において調査官が
「業務遂行上必要である部分を明確に
区分できていないから必要経費にならない」
という指摘は法的理解として間違っています。

あくまでも車両の業務使用割合が【50%超
である限りは】、「主たる部分が業務の遂行上
必要であること」の要件を満たしており、
もう1つの要件である「その部分が明らかに
できること」を、走行距離などから正しい
業務使用割合から算出すればいいだけです。

まとめると、家事関連費が明確に区分できない
=必要経費にならないのではなく、
明確に区分できない場合であっても、
業務使用割合が50%超であれば、
少なくとも施行令の要件の1つである
「主たる部分が業務の遂行上必要であること」
は満たしていると主張することができます。

また、業務使用割合が50%超だから
自動的に全額必要経費になるわけではなく、
あくまでも家事関連費のうち、業務使用割合分
だけが必要経費になります。

来週水曜の本メルマガでは、同じ論点で
自宅家賃(の一部)が必要経費にならないと
判断された有名な判決を取り上げます。

※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

著者情報

久保憂希也

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