残業食事代の実費精算は課税か?
※2019年4月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
株式会社KACHIELの久保憂希也です。
前回から引続きの内容で
今回は、従業員の残業食事代を会社が負担する
場合において、後で「実費精算」するのであれば
給与課税が必要かどうかという論点です。
前回詳しく解説しましたが、残業する従業員の
食事代を負担するにあたっては、原則として
食事の「現物支給」である場合:課税なし
食事代の「金銭支給」である場合:課税あり
となるわけですが、いったん従業員各自が
その場で支払いを済ませ、あとで会社と
精算する行為が「金銭支給」に該当すると
税務調査で指摘されるケースがあります。
確かに、会社が食事を準備・提供している
わけではありませんから、外形的・形式的に
みて「現物支給」に該当しないであろう
ことだけは(感覚的に)理解できます。
一方で、現実に即して考えてみればどうでしょうか?
・残業者・人数は当日になってみないと
わからない(ことが多い)
・残業用の食事を手配・準備する人が
そのために残業することは現実的ではない
・会社の小口現金など管理する人が
いなければ会社が支払うことはできない
これが多くの会社の実態でしょう。
この現実に合わせて考えれば、
残業食事代をいったん各自が支払い、
その後精算するという行為の実態は、
下記のように解釈することができます。
【本当の解釈】
〇残業にともなう食事の実費弁償である
(課税しない趣旨に沿っている)
〇食事代の多寡にかかわらず一定に
支給している食事代ではない
(規程などで上限はあれど実額精算)
〇会社側が残業食事代を手配・支払い
するのは実質的にムリ
(できるのであればやっている)
と考えて解釈することで「実態として」
現物支給になるので、源泉課税は不要と
いうことになります。
なお、過去にも本メルマガで取り扱ったので、
下記も併せてお読みください。
「通達を杓子定規に適用する否認指摘に反論」
http://kachiel.jp/blog/%E9%80%9A%E9%81%94%E3%82%92%E6%9D%93%E5%AD%90%E5%AE%9A%E8%A6%8F%E3%81%AB%E9%81%A9%E7%94%A8%E3%81%99%E3%82%8B%E5%90%A6%E8%AA%8D%E6%8C%87%E6%91%98%E3%81%AB%E5%8F%8D%E8%AB%96/
また、通達の前文・説明文から
通達課税に反論する方法については下記を
お読みいただければ理解が深まります。
「通達課税に対する反論方法」
http://kachiel.jp/blog/%E9%80%9A%E9%81%94%E8%AA%B2%E7%A8%8E%E3%81%AB%E5%AF%BE%E3%81%99%E3%82%8B%E5%8F%8D%E8%AB%96%E6%96%B9%E6%B3%95/
食事代に関する源泉課税については
今回までとして、次回の本メルマガでは
「日当」について解説します。
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