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2026.03.06

比準要素数1の会社に関する公表裁決の検証

※2024年11月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

税理士法人レディングの木下でございます。

今回のテーマは、
「比準要素数1の会社に関する公表裁決の検証」です。

前回は比準要素数1の会社に関する検討を行いました。
1.概要
2.比準要素数1の会社に該当することの回避策
を確認しました。

当該回避策(配当支給)は一般的な手法として
有名な手法ですが、本件につき総則6項が発動された
公表裁決を確認します。

裁決事例要旨:
https://www.kfs.go.jp/service/MP/04/0703000000.html#a134

裁決事例:
https://www.kfs.go.jp/service/JP/134/07/index.html

■事案の概要
1.評価会社の業種は不動産賃貸業
2.被相続人の祖母は平成29年7月に相続発生
3.評価会社の代表取締役(相続人)は祖母が保有する全株式を相続
4.評価会社の株主は平成28年末以降、相続開始の直前まで
  上記代表取締役を含めて筆頭株主グループ6名(100%)
5.決算期は12月であったが、
  相続開始前の平成29年5月31日に決算期を変更し、
  平成29年5月1日に配当を支払った。
6.上記5.により比準要素数1を回避し
  一般の評価会社(中会社)として評価を行い
  相続税申告を行った。
  当該株式の相続税評価額(相続時)は約21億円
7.原処分庁は総則6項を発動し評価額は約40億円にて
  更正処分を行った

★スキームの画策
請求人は高齢であることから、銀行から紹介された税理士法人
との間で契約を交わし、当該税理士法人は比準要素数1の会社を
回避策を提案した。

請求人の主張:
・平成29年3月1日、臨時株主総会で決算日変更を決議
・平成29年3月8日、臨時株主総会にて配当決議
・上記の各行為は被相続人の容態悪化する前の
 平成29年3月中に行われており、税負担軽減の
 回避の意図はない。

★事実確認
・平成29年5月1日、配当金支払
・平成29年5月22日、原処分庁へ異動届出書を提出

原処分庁の主張:
銀行の顧客管理システムに記録された交渉履歴等により、
請求人の各行為は税負担軽減の意図がある。

審判所の判断:
・請求人は本件各行為が行われることで相続税負担を
 減じる効果があることを理解している。
・請求人は税務当局に否認されることを承知の上で、
 あえてチャレンジすることを了承している。
・本件各行為は、平成29年4月26日までに被相続人の
 容態が悪化したことを受け、税理士法人の提案を実行した
 ものと認められ、請求人による税負担軽減の意図が認められる。
・本件各行為は、被相続人の容態悪化したことを受け
 その後に行われた各臨時株主総会に基づき行われたもので
 あると認められる。

以上より、評価通達の定める画一的な評価を行うことは
実質的な税負担の公平に反するため、平等原則違反とは
言えないと判断した。
よって、原処分庁による総則6項の適用を認める。

ただし、評価については、DCF法の適用は困難であり
過去4期連続赤字であり、超過収益力を有していないため、
企業価値評価ガイドラインに準拠し、
時価純資産法を適用されることも認められた。

■私見
容態悪化後のスキーム実行
(臨時株主総会開催による決算期変更、配当決議)
であると認定された事実はあるものの、
本件で総則6項を発動させるのは個人的には
厳しい判断と言わざるを得ないと考えています。

とはいえ、今後の対策としては
無配当が連続し、2期連続で利益ゼロであれば
比準要素数1の会社に該当するかのアラームを鳴らし
定時株主総会で配当を行う等の
通常の対策実行が税理士には求められると考えます。

※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

著者情報

木下勇人

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