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2026.03.02

比準要素数1の会社に関する検討

※2024年11月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

税理士法人レディングの木下でございます。

今回のテーマは、
「比準要素数1の会社に関する検討」です。

取引相場のない株式評価については、
財産評価基本通達において詳細に定められています。

原則的な評価は
178(取引相場のない株式の評価上の区分)
に定められている、
会社規模(大会社、中会社、小会社)に応じ、
類似業種比準価額と純資産価額との加重平均により
株式評価を行うことが
179(取引相場のない株式の評価の原則)
に定められています。

また、特例的評価の対象となる株式として
189(特定の評価会社の株式)において
各種会社が定められていますが、
同通達(1)において「比準要素数1の会社の株式」が
規定されています。

具体的な意義は以下のとおりです。

直前期末の比準3要素(B・C・D)のうち、
いずれか2つがゼロであり、
かつ、
直前々期末の比準3要素のうち、
いずれか2つ以上(2つ又は3つ)がゼロである会社

つまり・・・
直前期において
(1) B1(+)、C1(0)、D1(0)
(2) B1(0)、C1(+)、D1(0)
(3) B1(0)、C1(0)、D1(+)
直前々期において
(4) B2(+)、C2(0)、D2(0)
(5) B2(0)、C2(+)、D2(0)
(6) B2(0)、C2(0)、D2(+)
(7) B2(0)、C2(0)、D2(0)
という組み合わせが考えられます。

実務で注意をすべき組み合わせは
(3)B1(0)、C1(0)、D2(+)
(6)B2(0)、C2(0)、D2(+)
になるかと思います。

注意を要するのは、
社歴が古く純資産が厚い会社の業績が悪化し
直前期末3年間の利益(比準要素C)が
ゼロになってしまっているケースです。

■Bの検討
中小企業は無配であることが多いため
B1(0)、B2(0)であることが通常です。

比準要素Bは2期平均であることから、
直前期末3年間の実績を反映した判定することになります。

■Cの検討
比準要素Cは直前期単独か2期平均の選択適用であるため、
直前期末3年間の実績を反映した判定することになります。

業績悪化により3期連続で履歴ゼロである場合
確実にC1(0)、C2(0)となります。

もちろん、Cの判定においては、
繰越欠損金や非経常的利益の存在を加味した
判定になることは注意を要します。

また、直前期単独か2期平均の選択適用となりますが
この判定は類似業種比準価額の採用と
一致させる必要はありません。

つまり、有利選択が可能となります。
以下の数値で検証します。

直前期:利益600
直前々期:利益▲800
直前々期の前期:利益600

C1の判定:
直前期単独:+
直前期と直前々期の2期平均:0

C2の判定:
直前々期単独:0
直前々期と直前々期の前期の2期平均:0

C2のゼロは確定していますが、
C1では、
「直前期単独」と「直前期と直前々期の2期平均」
のどちらを採用することになるのでしょうか。

類似業種比準価額においては、
原則は直前期単独であるが、
納税者の選択により、
直前期と直前々期の2期平均を
採用することができます(評基通183(2))。

つまり、有利選択をすれば、
直前期と直前々期の2期平均:0
を採用するのが類似業種比準価額となります。

しかしながら、
比準要素数1の判定においては
類似業種比準価額と同じであることは
同通達では求められていません。

したがって、
比準要素数1の判定においては、
C1の判定は以下を採用することになります。
直前期単独:+

比準要素数1の会社に該当すれば、
原則として、純資産価額で評価することになりますが、
納税者の選択により、L=0.25
とすることが可能(評基通189-2)ですが、
それでも大会社が比準要素数1の会社に
該当すると評価額は大きく上昇してしまう
可能性が非常に高くなります。

その回避策としては、
配当することで回避することが実行されますが、
直近の裁決事例(公表)において
上記回避策を実行した会社の株式評価につき
総則6項が発動されました。

次回は、その裁決事例を検証していきます。

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一切受け付けておりませんのでご留意ください。

著者情報

木下勇人

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