比準要素数1の会社の判定に関する留意点1
※2022年8月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
税理士法人レディングの木下でございます。
今回のテーマは
「比準要素数1の会社の判定に関する留意点」です。
取引相場のない株式評価において
陥りやすいミスの代表的なものとして
「比準要素数1の会社」があります。
比準要素数1の会社の株式とは、
類似業種比準方式で定められた
次の3つの金額のうち、
いずれか2つの金額が0の会社で、
なおかつ、
直前々期末を基準にして
それぞれの金額を計算した場合に、
それぞれの金額のうち、
いずれか2つ以上の金額が0である
評価会社のことをいいます。
(1)1株当たりの配当金額
(2)1株当たりの利益金額
(3)1株当たりの純資産価額
(帳簿価額によって計算した金額)
比準要素数1の会社は、
類似業種比準価額で評価する際
適正な評価をすることが出来ないため、
特別な評価方式により評価することになります。
さて、「比準要素数1の会社」の
株式評価において留意すべきは、3要素のうち
1株当たりの利益金額(所得)が
連続してマイナスになり
比準要素数1の会社に該当してしまう場合が
ほとんどではないかと思います。
中小企業の場合、
・無配当であることが通常である
・純資産がマイナス(債務超過)になる会社
はそもそも株価ゼロの会社であり問題にならない
であるため、
・配当は連続してマイナス
・純資産はプラス
の会社が
・利益が連続してマイナス
に陥ることが想定されるケースかと思います。
上記の状況において
「比準要素数1の会社」の株式評価につき
留意すべき事項は以下2つになるかと思います。
1.業績が連続して赤字の会社の事前対策
2.判定における盲点
今週はNo1のみを検証します。
No2は来週にお届けします。
1.業績が連続して赤字の会社の事前対策
コロナ禍で業績が思わしくない会社も多くなり
業績が連続してマイナスになることも想定されます。
株式贈与を検討する場合には、
決算の状況を確認しながら
贈与のタイミングを遅らせることで
思わぬ課税を回避することは可能です。
しかしながら、
たまたま「比準要素数1の会社」に該当した
タイミングで相続が発生してしまった場合には
思わぬ課税を回避することは厳しくなります。
そのような場合に備えて
課税所得がマイナスになった翌年には
事前に株価評価をしておき、
その会計期間においても
利益がマイナスになる場合には
期中に配当することを検討する必要があります。
どちらにしても、
株式評価については、随時モニタリングをする
という意識付けが必要になります。
該当する会社がある場合には
期中から対応していただくことをおすすめします。
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