比準要素数1の会社の判定に関する留意点2
※2022年8月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
税理士法人レディングの木下でございます。
今回のテーマは、前回に引き続き
「比準要素数1の会社の判定に関する留意点2」です。
前回は下記留意点のうち、No1をご紹介しました。
「比準要素数1の会社」の株式評価につき留意点
1.業績が連続して赤字の会社の事前対策
2.判定における盲点
今回はNo2をご紹介します。
(1)端数処理の判定
前回、期中で配当を出すことで
比準要素数1の会社を回避する方法をお伝えしました。
1回だけの配当だけでは記念配当等の認定となる
可能性も否めませんので、複数回配当を出すことを
おすすめします。
そこで、配当を出すことで
「1株当たりの配当金額」を
プラスに転じることを模索します。
その際、「1株当たりの配当金額」は
「相続税及び贈与税における
取引相場のない株式等の評価明細書
の様式及び記載方法等について」通達 第4表1
において、表示単位未満の端数を
切り捨てて記載することになります。
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kobetsu/hyoka/kaisei/r0109/pdf/01.pdf
そのため、端数処理を行って0円となる場合には、
その要素は0として判定されるため、
配当を出して要素を作り出す場合には
端数切捨てにより0とならないよう注意が必要となります。
(2)「1株当たり利益金額」の判定に関する盲点
■前提条件
・直前期、直前々期、直前々期の前期ともに
純資産プラス、配当金ゼロ
・利益金額は以下のとおり。
直前期:600
直前々期:▲800
直前々期の前期:600
比準要素数1の会社に該当するのは
C1判定:ゼロ
C2判定:ゼロ
のケースです。
C1の判定:
・直前期600 →プラス
・(直前期600+直前々期▲800)÷2 →マイナス
⇒ 選択によって結論が変わる
C2の判定:
・直前々期▲800 →マイナス
・(直前々期▲800+直前々期の前期600)÷2 →マイナス
⇒ どちらを選択してもマイナス
類似業種比準価額でCを算出する場合では、
納税者の選択により納税者有利となる「小さい方」
を選択することになります。
つまり、
・直前期600 →プラス
・(直前期600+直前々期▲800)÷2 →マイナス
の小さい方を選択するため、平均値を選択した方が
納税者有利となります。
しかしながら、
C1の判定において
「直前期と直前々期の平均値」を選択すると
比準要素数1の会社に該当してしまう
結果となります。
財産評価ソフトの中には
類似業種比準価額の選択と道央
C1選択にあたり「小さい方」を
強制で選択するソフトもあります。
この点は注意が必要です。
本件では
C1の選択にあたっては、
「直前期と直前々期の平均値」ではなく
「直前期」を選択し、
類似業種比準価額のCの選択にあたっては
「直前期と直前々期の平均値」を選択
するのが納税者有利となります。
盲点となりやすい論点ですので
判定には細心の注意を要します。
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