法人の税務調査事績から最新の傾向を把握する
※2022年12月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
株式会社KACHIELの久保憂希也です。
今回のメルマガでは、国税庁が公表している
最新の情報を解説しますが、まず個人の確定申告関連。
年明けの所得税確定申告から、給与+損益通算などの
還付申告については不正還付の防止から審査の厳格化、
および還付保留期間の長期化が明示されました。
特に、マイナンバーの記載がない還付申告は
還付が厳格化されるようなので注意してください。
さて、毎年この時期に国税庁から発表されている
「調査事績の概要」について、例年通り
12月初旬に最新情報が公表されました。
今回のメルマガでは公表内容から、
法人の税務調査の傾向について解説します。
※令和3事務年度=令和3年7月~令和4年6月
まず実地調査の件数ですが、前年対比163.2%増
(約4万1千件)と急増する結果となっていますが、
コロナの影響がなければ例年の調査件数は
約10万件程度であったことから、いまだに
通常時の2分の1程度の調査件数となっています。
法人税における税務調査での否認割合は、
31千件÷41千件=約76%
ということで、否認率は高割合が維持されており、
4件に3件という非常に高い水準となっています。
調査1件あたりの増差所得は14,788千円、
追徴税額は5,701千円となっており、
前事務年度と比べ、調査件数が増えつつも、
調査1件あたりの増差は減っています。
重加算税の賦課率である「不正発見割合」は、
「22.7%」となっており、前年よりも
下がったものの、例年20%程度の割合ですから
いまだに高い賦課率となっています。
また、年々強化されている「簡易な接触」も
件数は増えていないものの、申告漏れ所得金額
および追徴税額は急増しています。
ここにいう「簡易な接触」とは実地調査以外の、
「税務署において書面や電話による連絡や
来署依頼による面接により、納税者に対して
自発的な申告内容の見直しなどを要請するもの」
を指しますが、昨今はお尋ねや電話連絡などの
行政指導についても、その精度(否認項目の把握)
が上がってきているのでしょう。
なお、個人事業主など所得税に関する
調査事績については、下記をご覧ください。
毎年公表されている調査事績ですが、
これを見るだけで、税務調査のみならず
国税の方向性が見えてきますので、
ぜひ参考にしてください。
※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。
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