法定監査とは何か?
※2015年9月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
株式会社InspireConsultingの久保憂希也です。
よく聞きなれない税務調査の一類型に
「法定監査」なるものがあります。
(あくまでも国税が使う呼称であって、
法律にはこのような名前は附されていません)
「調査」という名前ではなく「監査」なのですが、
これも税務調査(の一種)となっています。
「法定監査」は法律上、質問検査権の対象範囲となっています。
国税通則法第74条の2第1項第1号ロ
所得税法第225条第1項 (支払調書)に規定する調書、
同法第226条第1項から第3項 まで(源泉徴収票)に規定する
源泉徴収票又は同法第227条から228条の3の2まで(信託の
計算書等)に規定する計算書若しくは調書を提出する義務がある者
つまり、法定調書の提出(義務)者に対して、
誤り・漏れなく法定調書を提出しているのかを
確認するのが法定監査と呼ばれるものです。
法定監査で心配になるのが、通常の税務調査への移行ですが、
法定監査はあくまでも、所得や税額の誤りを探すものではなく、
「更正決定等を目的として実施するものではありません」。
あくまでも法定調査の提出状況とその金額等の妥当性を
確認するために行われるものです。
一般的には、国税局・税務署内で法定監査をする調査官と、
通常の税務調査をする調査官が分かれていることもあって、
法定監査から通常の税務調査に移行することはありません。
また、法定監査から通常の税務調査に移行する場合には、
法的には(通常の税務調査の)事前通知が行われますので、
なし崩し的に移行することもありません。
(事前通知がない移行は手続き違反ということです)
法定監査は通常の税務調査とまったく別物と考えてよく、
調査手続きなども相違しています。
例えば、通常の税務調査では先日ブログでも書いた通り、
「調査の終了の際の手続」(国税通則法第74条の11)が
なければ終わりとなりませんが、法定監査は誤り等があっても
「更正決定等をすべき」状況にはなりませんので、
この手続き(説明や是認通知書の発行など)は行われません。
当然、調査した支払調書に誤り等があれば問題ですから、
調査官側からは再提出などの要請があるのみとなります。
(税額は発生しえませんので)
また、通常は法定監査にも事前通知があるので
大丈夫かとは思いますが、法的には法定監査には
事前通知の義務はないことも知っておきましょう。
事前通知は、国税通則法第74条の9において
「納税義務者に対して」行うものとされていますが、
法定監査の場合、支払調書の提出義務者は納税義務者に
該当しないので、事前通知は法的には不要となります。
ですから万が一、法定監査に無予告で入られても
手続き違反を問うことはできないのです。
法定監査を受けた経験がある税理士も少なく、
対応方法が不安、ということでよく相談を受けますが、
何も不安に感じる必要性はありません。
もちろん、所得・税額の確認ではないのですから、
通常の税務調査で準備しておくべき一式までは
不要となります(支払調書関連のみ)。
法定監査は一般的に、本当の確認で終わることが
ほとんどなので、そこまで警戒する必要はないでしょう。
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一切受け付けておりませんのでご留意ください。