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2016.09.02

税務調査終了は3種類しかない

※2015年8月の当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

 

 

国税通則法改正前(平成24年以前)は、税務調査の結末は非常に曖昧であることが多くありました。

実際には誤りがあっても、それが軽微な場合は調査官がよく「指導に留める」と言っていましたが、この言葉の(法的)効果が何なのか、誰もよくわかっていませんでした。

指導に留める(誤りが軽微)
⇒ 修正申告は提出しない(ことでいい)
⇒ でも是認通知書は出ない(と調査官は言う)
= 是認ではない?(では何なのか??)

改正後(現行)は「調査の終了の際の手続」が明確に定められ、税務調査が終わる際の手続きが3つに分類されました。

先に強調しておきますが、この3つ以外はあり得ません。曖昧な手続きは排除されていますので注意してください。

国税通則法第74条の11(調査の終了の際の手続)
税務署長等は、国税に関する実地の調査を行つた結果、更正決定等をすべきと認められない場合には、納税義務者であつて当該調査において質問検査等の相手方となつた者に対し、その時点において更正決定等をすべきと認められない旨を書面により通知するものとする。

2  国税に関する調査の結果、更正決定等をすべきと認める場合には、当該職員は、当該納税義務者に対し、その調査結果の内容を説明するものとする。

3  前項の規定による説明をする場合において、当該職員は、当該納税義務者に対し修正申告又は期限後申告を勧奨することができる。
この場合において、当該調査の結果に関し当該納税義務者が納税申告書を提出した場合には不服申立てをすることはできないが更正の請求をすることはできる旨を説明するとともに、その旨を記載した書面を交付しなければならない。

まず、1項の規定によって、税務調査において「(税額増の)誤りがなければ、すべて是認」となります。

よくあるケースでは、調査先が粉飾していた場合、税務署が職権による減額更正をしないのであれば、この調査の結論は「是認」となります。

粉飾であったとしても、もちろん「更正決定等をすべきと認められない旨の通知書」(いわゆる是認通知書)を受け取ることになります。

では、税務調査に入ったけれど、経営者が途中、ケガ・病気などで長期入院したことで、調査が打ち切り(中止)になった場合はどの取扱いでしょうか?

これも、税務調査において誤りがないまま(修正申告をしたわけではない)、終了となっている事実に変わりありませんから、是認扱いとなります。

なお、調査の打ち切り(中止)と延期は違います。
「延期」であれば、終了せず継続していますので。

このように、以前は実務上曖昧であった調査終了手続も、3つしかないとわかれば現実を把握することも簡単です。

 

私によくある質問として、

「税務調査が2日間ありましたが、そのあと1ヶ月以上税務署から連絡がありません。これは税務調査が終わったということでしょうか?」

というものがありますが、もうおわかりの通り、この税務調査は放置されているだけで終わっていません。
3つのどれかに分類されていないからです。

何も否認なく終わっているなら、是認通知書が出されていないとおかしい、と判断できるわけです。

最後になりますが、国税通則法第74条の11の2項と3項の「順序」が大事です。

税務調査で誤りがあった場合、まずは「更正するのですが、内容・理由は○○です」と調査官は説明し、そのあとに「納得するなら修正申告でもいいですよ」となるわけです。

このあたりは実務上、修正申告が予定調和になっている場合がほとんどですが、手続きではそうなっていないので考え方・対応の仕方としては注意が必要なポイントです。

 

 

 

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一切受け付けておりませんのでご留意ください。

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