消費税の還付申告:資料提出要請を断るべきなのか?
※2021年10月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
株式会社KACHIELの久保憂希也です。
私に対してよくある質問の1つとして、
「更正の請求を提出したが税務署から連絡があり、
(添付とは別に)追加の資料を求められたが
これに応じるべきか?」というものがあります。
この更正の請求と根本論は同じと認識していますが、
今回のメルマガでは、消費税の還付申告をした場合、
税務署から追加の資料提出要請について考えてみます。
消費税の還付申告については実務上で体感している通り、
年々審査の基準が厳しくなっており、追加の資料提出も
「これが本当に必要なの?」と思ってしまう場面も
増えたはずです。
先日あった質問は、下記のような事案です。
・中古不動産を購入して消費税の還付申告
・購入の相手方は親会社
・対価=時価算定において不動産鑑定評価書をとっている
・追加の資料提出として要請された契約書・領収書・
決済状況の書類については納得ができる
・上記以外の提出要請として不動鑑定評価書があるが
応じなければならないのか?
この質問は、税務判断を基礎とした考え方に
合致しており、ごもっともな疑問かと思います。
なぜなら、仕入税額控除の要件は時価ではなく、
あくまでも当事者間で授受することとした対価の額
であることから、契約書などの提出は当然としながら、
対価=時価の算定根拠は不要ではないか、
という論理的な考え方に立脚しているからです。
さらには、消費税の還付申告に添付する書類の要件は
消費税法第46条第3項に「当該課税期間中の
資産の譲渡等の対価の額及び課税仕入れ等の税額の明細
その他の事項を記載した書類を添付しなければならない」
とされていることから、やはり上記の事案においては
契約書などは必要であるものの、不動鑑定評価書は
(法律上の解釈としては)必要ないと考えられます。
一方で、対税務署との現実はどうなるのでしょうか。
追加資料の提出を断った・提出した場合について、
各ケース別に考えてみましょう。
1 提出しなくてもそのまま還付される
2 提出がないため還付されず税務調査に切り替わる
3 提出したことで税務署が納得して還付される
4 提出したが内容に疑義があり税務調査に切り替わる
結局のところ、この4つのケースのどこに該当しそうか
という確率論であり、かつ顧問先(顧問税理士)として
「どうなったら困るのか」の総合勘案で
判断することになるわけです。
私の見解(結論)はシンプルで、更正の請求にしても
消費税の還付申告であっても、税務署から
追加の資料提出要請があれば、その内容の
【必要性を問わず素直に応じた方がいい】というものです。
なぜなら、(一部であっても)税務署が求める
資料を提出しないということは、税務署が
机上審査で納得しない、もしくは提出されないことに
税務署が疑義を感じる確率が圧倒的に高いからです。
特に、更正の請求や消費税の還付申告の場合、
「税務署が疑義を残す=還付しない」となり、
至る行動は税務調査しかありません。
税務調査に切り替わって喜ぶ納税者(顧問先)はいない
はずですから、どのような追加の資料提出であれ、
特段やましいことがないのであれば
(法的には提出義務がないとしても)
追加の提出要請に応じた方が得策のはずです。
顧問税理士が法的な正しさを税務署に主張する
がために、税務調査に切り替わる確率が高まる
というのは理論と実務の乖離のように感じますが、
顧問先が困る状況にしないことを最優先に考えれば
取るべき行動は明確になると考えます。
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一切受け付けておりませんのでご留意ください。
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