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2021.05.07

渡切りの交際費は給与課税

※2019年8月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

株式会社KACHIELの久保憂希也です。

先週金曜の本メルマガでも解説しましたが、
役員・社員が支出・立て替えた経費については、
実額精算することが原則です。

一方で、細かく・多数発生する旅費については
実額精算の煩雑さから、社内規程において設定した
金額による精算も実質的に認められていることは
先週に詳しく解説しました。

また、交際費についても同様に実額精算が
原則的な考え方となっていますが、役員・従業員が
立て替えた交際費とはいえ、その使途が明らかでない
ものについては、給与課税することになります。

所得税基本通達28-4(役員等に支給される交際費等)
使用者から役員又は使用人に交際費、接待費等として
支給される金品は、その支給を受ける者の給与等とする。
ただし、使用者の業務のために使用すべきものとして
支給されるもので、そのために使用したことの
事績の明らかなものについては、課税しない。

また、出張費でも交際費でも同じですが、
月額一定などの定額支給は給与課税になります。
交際費の場合「渡切交際費」と呼ばれるものです。

「渡切交際費」とは、役員や従業員に前渡しする
交際費で、使途や使用金額を問わず、
後日の精算も行わないものを指しています。

交通費であれば都度の精算が面倒・煩雑なのは
よくわかりますが、交際費については
その使途が問われることから、概算や
定額支給は税務調査で問題になりやすい論点です。

法人税基本通達9-2-9(9)
(債務の免除による利益その他の経済的な利益)
役員等に対して機密費、接待費、交際費、旅費等の
名義で支給したもののうち、その法人の
業務のために使用したことが明らかでないもの

なお、役員に対する渡切交際費(定額支給)
については、給与課税とはなるものの、
定期同額の役員給与に該当しますので、
過大と判断されない限り損金にはなります。

法人税基本通達9-2-11
(継続的に供与される経済的利益の意義)
令第69条第1項第2号《定期同額給与の範囲等》に
規定する「継続的に供与される経済的な利益のうち、
その供与される利益の額が毎月おおむね一定で
あるもの」とは、その役員が受ける経済的な
利益の額が毎月おおむね一定であるものをいう
のであるから、例えば、次に掲げるものは
これに該当することに留意する。
(3) 9-2-9の(9)に掲げる金額で毎月定額
により支給される渡切交際費に係るもの

なお、10万円渡切りしていた場合で、
例えば7万円分の領収書が存在し、
その使途が交際費と明らかになるのであれば、
3万円分に対して給与課税することになります。

特に社長のワンマン度合いが強いと、
交際費の支出内容を隠したいからか、
交際費を渡切りにする法人もあるのですが、
使途が明確にならない限りは給与課税する
必要がありますので、ぜひ注意してください。

※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

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