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2022.09.09

無予告調査の法律~通達規定

※2021年9月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

毎週金曜の本メルマガでは、税務調査を体系的に理解する
内容を連載で解説していますが、前回までの
事前通知~調査通知に続けて、今回は「無予告調査」
(事前通知を要しない場合)を取り上げます。

国税通則法第74条の9の規定から(原則として)
実地の調査を行う場合は事前通知をしなければ
ならないこととされています。

一方で、原則があれば例外があるわけで、
現実にも事前通知がない無予告調査は存在します。
無予告調査の法規定から確認しましょう。

国税通則法第74条の10
前条第一項の規定にかかわらず、税務署長等が
調査の相手方である同条第三項第一号に掲げる
納税義務者の申告若しくは過去の調査結果の内容
又はその営む事業内容に関する情報その他国税庁等
若しくは税関が保有する情報に鑑み、違法又は
不当な行為を容易にし、正確な課税標準等又は
税額等の把握を困難にするおそれその他国税に関する
調査の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあると認める
場合には、同条第一項の規定による通知を要しない。

ザックリ言えば、上記法律要件のどれかを
満たしていると国税が判断した場合においては、
無予告調査ができるということです。

上記規定は法律ですから、規定する文言は
かなり曖昧となっていますが、各要件の定義
もしくは例示については法令解釈通達にあります。

税務署は事前の検討を重ねず、わりと安易に
無予告調査を実施してくることが多いのが実態ですが、
無予告調査の要件は意外に厳しいことは、
下記の通達を確認いただけると理解できます。

なお、無予告調査の要件を定めた通達は
5-7~5-10の4つになりますが、
全てを取り上げると文量が多くなりますので、
重要な点だけを解説しておきましょう。

「国税通則法第7章の2(国税の調査)等関係通達
の制定について(法令解釈通達)」
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kobetsu/zeimuchosa/120912/03_2.htm#a04_7

●5-7「その営む事業内容に関する情報」の範囲等
法第74条の10に規定する「その営む事業内容に関する情報」
には、事業の規模又は取引内容若しくは決済手段などの
具体的な営業形態も含まれるが、単に不特定多数の
取引先との間において現金決済による取引をしている
ということのみをもって事前通知を要しない場合に
該当するとはいえないことに留意する。

国税はいわゆる「現金商売」の業態に対して
無予告調査することが多いのですが、単に
現金商売だからという理由だけで無予告調査には
ならないと規定されています。

この通達があることを知らない調査官も多いので
特に知っておくべき規定になります。

●5-8「違法又は不当な行為」の範囲
●5-9「違法又は不当な行為を容易にし、
正確な課税標準等又は税額等の把握を困難にする
おそれ」があると認める場合の例示
●5-10「その他国税に関する調査の適正な遂行
に支障を及ぼすおそれ」があると認める場合の例示

これらの規定はお読みいただければわかりますが、
国税側の認識がもはや脱税と見込まれる場合に
無予告調査を実施するという内容です。

このように、法律~通達では無予告調査に
要件があるにもかかわらず、実務上は
要件を満たさない場合でも無予告調査が
実施されている現実を理解すべきでしょう。

さて、次回の本メルマガでは、ほとんどの方が
理解していない「無予告調査での事前通知」
について詳しく解説します。

※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

著者情報

久保憂希也

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