特別寄与料に関する課税関係と相続手続
※2022年3月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
税理士法人レディングの木下でございます。
今回のメルマガは・・・
令和元年7月1日施行の改正民法における新設規定である
「特別寄与料に関する課税関係と相続手続」
をお届けします。
1.民法規定の概要
(1)改正前民法
被相続人の介護や看病などに尽くした「相続人」のみ、
その貢献により被相続人の遺産が増加または
維持されてきたことが認められる場合、
遺産分割に際して、相続分を増加させる
「寄与分」の制度が存在していました。
つまり・・・
相続人でない親族(例えば長男の嫁)が
被相続人の介護や看病に尽くしても
改正前民法では遺言がない限り
相続財産を取得することはできません。
(2)改正後民法における新設規定
特別寄与料の新設により、
寄与した親族
(相続人を除く6親等内の親族と3親等内の姻族。特別寄与者)
は相続人に対して特別寄与料を
請求できることになりました。
2.相続税申告実務における影響
(1)みなし遺贈
平成31年度(令和元年度)税制改正により、
この特別寄与料について,
被相続人から遺贈により取得したものとみなし,
相続税を課すこととされました(相法4(2))。
(2)2割加算の適用
上記(1)のとおり、
みなし遺贈により財産を取得者が
被相続人の一親等の血族及び配偶者以外の者
となるため,相続税額につき
2割加算の対象となります(相法18)。
(3)支払う相続人側の処理
相続人が支払うべき特別寄与料の額は,
当該相続人に係る相続税の課税価格
から控除します(相法13,21の15)。
(4)修正申告・更正の請求等の「特則」対象
相続税法上で定められている
修正申告や更正の請求等の“特則”の対象に,
「特別寄与料を被相続人から取得した場合」
が加わりました(相法31 (2), 32 (1)七, 35 (2)五)。
改正民法と合わせ,本年7月1日以後に
開始した相続から適用されることとなりました。
更正の請求期間は、他の特殊事情が生じた
場合と同様に、特殊事情が生じた日の
翌日から4カ月以内となります。
3.相続手続における影響
(1)各種書類への署名押印
特別寄与者には、あくまで相続人に対する
特別寄与料の請求権のみ認められており
遺産分割協議には参加できません。
つまり・・・
遺産分割協議書への署名押印はありませんが
相続税申告書への署名は必要となります。
(2)特別寄与料の請求手続
特別寄与料の金額は請求者と
相続人との協議にて決定されます。
協議が整わない場合等は相続が開始したこと及び
相続人を知った時から6カ月
または相続開始の時から1年以内に限り、
家庭裁判所に審判の申立てを
行うことが可能となります(民法1050)。
特別寄与料を請求するためには、
被相続人の介護や看病に尽くしたエビデンスを残すことも
実務上必要になるため、
生前からの意識的な対応が望まれます。
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一切受け付けておりませんのでご留意ください。
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