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2023.10.06

特定居住用宅地等(家なき子特例)に関する盲点1

※2022年10月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

税理士法人レディングの木下でございます。

今回のテーマは
「特例居住用宅地等(家なき子特例)に関する盲点1」です。

実務でよく登場する「家なき子特例」ですが、
平成30年度税制改正で大きく変更されたことが
記憶に新しいかと思います。

租税特別措置法69条の4第3項第2号ロ(1)

(1) 相続開始前三年以内に相続税法の施行地内にある当該親族、
当該親族の配偶者、当該親族の三親等内の親族又は当該親族と
特別の関係がある法人として政令で定める法人が所有する家屋
(相続開始の直前において当該被相続人の居住の用に供されていた家屋を除く。)
に居住したことがないこと。

平成30年度税制改正で注意すべきポイントは
以下のとおりです。

■改正前
相続開始前3年以内に
・財産を取得した親族(長男など)
・財産を取得した親族の配偶者(長男の妻など)
が所有する家屋に居住したことがないこと

■改正後
相続開始前3年以内に
・財産を取得した親族(長男など)
・財産を取得した親族の配偶者(長男の妻など)
・財産を取得した親族の3親等内の親族
・財産を取得した親族と特別の関係がある法人
が所有する家屋に居住したことがないこと

つまり、下2つが追加されたことで
家なき子特例がかなり制限されることになりました。

長男が財産(自宅及びその敷地)を
相続したと仮定し検証します。

・財産を取得した親族の3親等内の親族

これに該当するのは
1.長男の父母(1親等血族)
2.長男の祖父母(2親等血族)
3.長男の子(1親等血族)
4.長男の孫(2親等血族)
5.長男のひ孫(3親等血族)
6.長男のおじおば(3親等血族)
7.長男妻の父母(1親等姻族)
8.長男妻の祖父母(2親等姻族)
9.長男妻のおじおば(3親等姻族)
など、かなり広範にわたります。

現実的に可能性があるとすれば、
以下と想定します。
1.長男の父母(1親等血族)
6.長男のおじおば(3親等血族)
7.長男妻の父母(1親等姻族)
9.長男妻のおじおば(3親等姻族)

これらの者が保有する家屋に
相続開始前3年以内に居住していたら
適用不可となることから、
相続実務においては、
財産を取得する者の住民票をチェックし
そのうえで居住実態を把握する必要があります。

・財産を取得した親族と特別の関係がある法人

こちらは、
同族法人所有の家屋を社宅として
財産を取得した者が居住していれば
適用不可となります。

こちらもまずは住民票チェックが
必要になるかと思います。

家なき子特例の判定については
慎重にご判断をお願いできればと思います。

次回も家なき子特例の盲点を
ご紹介します。

※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

著者情報

木下勇人

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