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2021.08.18

現物給与を課税しない趣旨・まとめ(1)

※2019年11月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

株式会社KACHIELの久保憂希也です。

毎週金曜の本メルマガでは、約1年間にわたり
経済的利益・給与課税・源泉について解説して
きましたが、今回から3回に分けて全体像として、
現物給与を課税しない規定(特に通達)の
【趣旨】について解説します。

なお、あと3回で現物給与・経済的利益を
取り上げるのは終わりにして、次からは
(申告)所得税の注意点等を解説していきます。

今回、「現物給与を課税しない趣旨」を
あえて取りあげる理由は、税務調査において
源泉の論点は、通達の文言・形式で
否認指摘を受けることが多く、それに対して
適切に反論できるようにするためです。

例えば、残業した従業員の食事代を会社が
負担しているケースで、税務調査において
【形式的に】否認指摘された事案があります。

「通達を杓子定規に適用する否認指摘に反論」

ここにある通り、そもそも(法令解釈)通達
とは、「通達の具体的な適用に当たっては、
法令の規定の趣旨、制度の背景のみならず条理、
社会通念をも勘案しつつ、個々の具体的事案に
妥当する処理を図る」わけですが、
実際のところ調査官は文言・形式で
判断・否認指摘をするケースが多いでしょう。

「前文・説明文」とは、通達の「趣旨」を定めた
もので、通達を運用する際の「ルール」です。

上記通達の前文から3つの考え方が理解できます。

(1)税法の立法趣旨が優先

(法令解釈)通達はあくまでも、法律を解釈する
ためにあるものですから、その元となる
法令の立法趣旨を曲げるものにはなり得ません。

(2)社会通念が上位概念

税務ではよく「社会通念上」という言葉が出てきます。
簡単に言えば「常識」なのですが、社会情勢が
大きく変わっても、それにともなって
法律・通達が毎年改正されるわけではありません。
だからこそ、社会通念や商習慣から
主張・反論することが大事になります。

(3)個々の事案で考える

調査官は通達の「文言」で課税しようとします。
前文にあるとおり、画一的な通達課税は許されません。

このように、経済的利益・現物給与を判断する場合、
通達規定に頼らざるを得ないわけですが、

経済的利益は発生している

通達で課税対象外と規定されている

という内容は、課税除外している理由・趣旨を
理解しておく必要があるということです。

この趣旨は大別すると3つに分けることができますが、
具体的な内容について来週から解説します。

※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

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