現物給与を課税しない趣旨・まとめ(3)
※2019年12月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
前回から引続きですが、
現物給与を課税しない通達規定の趣旨について、
今回が最後の解説になります。
今回は前回解説していない、
「(3)少額不追及」を取り上げます。
名称そのままに、「経済的利益の額が
少額であることから、税務上はそこまで
追及する必要性がない・実益がない」から
現物給与として課税しない趣旨となります。
最も代表的なものとして、社内飲み会や
社員旅行などのレクリエーション費用があります。
本ブログでも
「社内旅行の「高額」とはいくらなのか?」などで取り上げましたが、
所基通36-30(課税しない経済的利益…
使用者が負担するレクリエーションの費用)
において「社会通念上一般的に行われていると
認められる(略)費用」とされています。
飲み会・旅行のいくらまでが高額ではないのか
は個々の事案に即して社会通念(常識)で
判断していくことになるわけですが、
ここでは「少額不追及」の趣旨に沿わない限り
課税の対象となることだけは理解してください。
また、本ブログでも
「従業員割引で給与課税されるケース」
で取り上げましたが、従業員に対する
値引販売については、所基通36-23により
その要件が定められていますが、一方で
その要件を形式的に満たしていても、
不動産など高額なものは、その趣旨から
課税対象となることに注意が必要です。
「住宅の値引販売による経済的利益」
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/gensen/03/26.htm
繰り返しますが、これはあくまでも
従業員に対する値引販売の通達規定の趣旨は
「少額不追及」だからであって、その趣旨に
沿わないものは課税するという考えによるものです。
同じ趣旨の規定として、
○永年勤続者の記念品等・創業記念品等
(所基通36-21~36-22)
「No.2591 創業記念品や永年勤続表彰記念品
の支給をしたとき」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2591.htm
○無利息または低利貸付け
(所基通36-28)
「No.2606 金銭を貸し付けたとき」
https://www.nta.go.jp/m/taxanswer/2606.htm
などが挙げられます。
これらも、あくまでも経済的利益が少額だから
課税しないという趣旨であることを
意識しながら税務判断をする必要があります。
さて、約1年間にわたり経済的利益・源泉
について解説してきましたが、次回からは
来年3月の確定申告に向けて、申告所得税
の注意点について解説していきます。
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