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2018.04.11

生命保険金の受取人は誰にすべきか?(その3)

※2017年10月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

日本中央税理士法人の見田村元宣です。

今回は「生命保険金の受取人は誰にすべきか?(その3)」ですが、

名古屋高裁(平成18年3月27日判決)を取り上げます。

この裁判は岐阜家庭裁判所が第一審であり(平成17年4月7日)、

これが名古屋高裁で判断されたものとなります。

前々回のブログで最高裁(平成16年10月29日)を取り上げ、

生命保険金は原測として受取人固有の財産ですが、「特段の事情が

存する場合には〜当該死亡保険金請求権は特別受益に準じて

持戻しの対象となると解するのが相当である」という内容を解説しました。

この「特段の事情」が認められたのが、

前回のブログでご紹介した東京高裁判決、今回の名古屋高裁判決です。

まず、遺産額の概要です。

〇相続開始時の価額

・ 不動産:8,328万5,000円

・ 預貯金:312万4,190円

・ 保険解約返戻金:80万4,693円

・ 合計:8,721万3,883円

〇遺産分割時の価額

・不動産:6,640万円、

・保険解約返戻金:18万3257円

・合計:6,658万3,257円

では、特別受益についてです。

〇 申立人の特別受益

死亡保険金等の合計は5154万0846円。

・死亡保険金等の合計額はかなり高額であること

・この額は本件遺産の相続開始時の価額の約61パーセント

・遺産分割時の価額の約77パーセントを占めること

・被相続人と申立人との婚姻期間は3年5か月程度であること

などを総合的に考慮すると上記の「特段の事情」が存するものと

いうべき。

・申立人の特別受益の額は5,154万0,846円となる。

前回に解説した通り、明確な数値基準がある訳ではなく、

あくまでも総合勘案の世界ではあります。

ただし、前回の事例同様、

「遺産の相続開始時の価額の約61パーセント」が1つの根拠であり、

「特段の事情」が認められた事例としては、1つの数値基準「的」なもの

が示された事例ではあります。

3回に渡って、生命保険金の受取人について解説してきましたが、

死亡保険金が受取人固有の財産とは絶対的に言えない訳です。

この点は十分に考慮した上で、

皆さんがお客様から相談を受けた場合には、

提案をしていくことが大切なのです。

あくまでも総合勘案の世界ではありますが・・・。

※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

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