申告所得税で更正の請求ができるケース・できないケース(後半)
※2021年2月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
株式会社KACHIELの久保憂希也です。
今年の確定申告期限について、国税庁から
正式に1ヵ月の延長が発表されましたね。
https://www.nta.go.jp/data/030202kigenencho.pdf
さて、先週金曜の本メルマガに続いて、今回も
個人の確定申告で更正の請求ができる・できない
パターンについて解説します。
●配当控除
確定申告において申告分離課税を選択した
上場株式等の配当等については、後になって
総合課税の有利なことに気付いても選択変更不可
のため、更正の請求をすることはできません
(修正申告による選択変更もできません)。
「No.1331 上場株式等の配当等に係る申告分離課税制度」
さらには、確定申告を要しない配当所得を
申告した後で、配当所得を除く更正の請求を
することもできません(措通8の5-1)。
ですが、配当控除が漏れていた場合、
配当控除には当初申告要件が(もともと)
ありませんから、更正の請求はできます。
●外国税額控除
外国税額控除については、平成23年12月以降に
適用の税制改正において、当初申告要件が廃止、
および控除額の制限の見直しをされています。
当初申告で外国税額控除の適用が漏れた場合
のみならず、適用額を誤って増額させたい場合で
あっても、更正の請求をすることができます。
以前は更正の請求ができませんでしたので、
いまだに勘違いしている方が多いポイントです。
●寄付金
政党又は政治資金団体に対する政治活動に関する
寄附金で一定のものは、政党等寄附金特別控除
(税額控除)を適用することができます。
これはあくまでも、寄附金控除(所得控除)との
選択適用となりますので、更正の請求によって
政党等寄附金特別控除への選択変更はできません。
ただし、寄付金控除の適用および増額については
更正の請求をすることはできます。
今年の申告においては、ふるさと納税だけでなく、
イベント中止による払い戻しを受けなかった場合
なども寄付金控除の対象となります。
「文化芸術・スポーツイベントを中止等した
主催者に対する払い戻し請求権を放棄した場合」
これらが当初申告で漏れていた場合であっても、
寄付金控除を増額させる更正の請求は
できることになります。
確定申告業務においては、有利選択の適用を
間違えないことは必須(更正の請求ができない)
であることと併せて、当初申告要件があるのか、
さらには控除額の制限の見直しができるのかが、
更正の請求ができる・できないの分岐点になります。
ぜひ、注意してください。
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