留置きに応じるメリット・デメリット
※2017年10月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
株式会社InspireConsultingの久保憂希也です。
税務調査の最盛期が続いています。
さて、私がよく受ける質問に、税務調査で
「留置きに応じるべきでしょうか?」
というものがあります。
この回答として「絶対」とは言い切れない部分があり、
留置きに応じるメリット・デメリットを
顧問先に伺いながら対応することになります。
【留置きに応じるメリット】
調査官が税務署に帳簿書類を持って帰るわけですから、
対面での調査時間は圧倒的に短くて済みます。
特に、要領が悪い調査官の場合、臨場しても
調査がなかなか進まないケースもあり、
「税務署に持って帰って論点をまとめてから
後日また調査に来てくれよ」
と思ってしまうこともあるはずです。
留置きに応じれば、その分だけ立会い時間は
減りますから、顧問先は喜ぶことも多いはず。
【留置きに応じるデメリット】
一方で、税務署に帳簿書類等を持って帰られると、
調査官が精査する時間は増えますので、
否認リスクは確実に上がります。
また、税務署に帳簿書類があるということは、
調査担当者以外も集計や確認などを
手伝うこともありますので、多数の目で見られる
ことで否認リスクが上がるという側面もあります。
これは個人的な見解ですが、
私であれば基本的に留置きは拒否します。
時間と労力をかけても、否認リスクが
低くなることを望むからです。
なお、調査官の中には留置きするのが
当然かのように言う担当者もいますが、
それは間違っています。留置きは
あくまでも任意ですので、納税者(税理士)が
応じるか応じないかを決めればいいのです。
「調査手続の実施に当たっての基本的な考え方等
について(事務運営指針)」第2章3(4)
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/jimu-unei/sonota/120912/
「調査について必要がある場合において、
質問検査等の相手方となる者に対し、帳簿書類
その他の物件(その写しを含む。)の提示・提出を
求めるときは、質問検査等の相手方となる者の
理解と協力の下、その承諾を得て行う。」
上記規定から、調査現場において留置きは、
納税者の「任意」であることがわかります。
さらに、同事務運営指針の第2章3(5)において
留置きには要件があることもわかります。
「やむを得ず留置く必要がある場合や、
質問検査等の相手方となる者の負担軽減の
観点から留置きが合理的と認められる場合に」
留置きに応じるか応じないか、
上記のメリット・デメリットを顧問先に
きちんと伝えたうえで判断すべきでしょう。
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