相続税申告における贈与の事前確認は必須
※2019年10月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
株式会社KACHIELの久保憂希也です。
相続税の申告をする上で、生前贈与の確認をする
のは実務上必須ですし、相続税の税務調査では、
税務署が明確に生前贈与を認識しており、
確信的に調査に入る事案も多くあります。
また、今事務年度(今年7月以降)になって、
相続時精算課税を選択していたのを知らずに
相続税申告をしてしまい、調査で否認された
事案を3件も聞いています。
生前贈与の情報が適切に把握されないのは
大きく2つの現実的問題があります。
○相続人に確認したが覚えていなかった
○相続人同士がモメていて正確な情報が不明
相続申告前に、相続開始前3年以内の贈与
もしくは相続時精算課税の適用を確認するのは
当然なのですが、結局相続人が「知らなかった」
「覚えていない」リスクが残るわけです。
ここで、絶対に活用すべき制度があります。
「No.4202 相続税の申告のために必要な準備」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4202_qa.htm
「贈与税の申告内容の開示請求手続」
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/sozoku-zoyo/annai/2361.htm
この制度は「49条開示」と呼ばれていますが、
多くの税理士・会計事務所が知らずに
活用できていない制度でもあります。
この開示請求は、相続人1人・単独でも
行うことができ、相続人同士がモメている
場合であっても活用することができます。
開示請求に必要な書類は、遺産分割の状況や
遺言書の有無によって異なりますので、
詳しくは上記の国税庁サイトをご覧ください。
開示される情報は下記になります。
○相続開始前3年以内の贈与に開示対象者が
被相続人から贈与を受けた財産の価額の合計額
(ただし、相続時精算課税適用分を除く)
○相続時精算課税の適用を受けた財産の価額
特に、相続時精算課税の適用については
「かなり昔なので覚えていない」
「別の相続人が勝手に適用していた」
ということがよくあり、かつ税務署としては
相続税申告書に誤りがあることが明確なので
税務調査で格好の餌食となります。
49条開示請求は税理士・会計事務所にとって
必須の手続きですので、ぜひ活用してください。
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