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2019.07.30

税務代理権限証書を提出しているのに納税者に直接問合せは違法か?

※2018年8月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

株式会社KACHIELの久保憂希也です。

先週のメルマガでは「税務代理権限証書を
提出しているのに納税者に事前通知は違法か?」
として、事前通知に関して解説しました。

今回は似たような行為ではありますが、
税理士が税務代理権限証書を添付している
にもかかわらず、税務署が納税者に対して
直接問合せする行為が違法かを解説します。

法律的な解釈をする前に、
実務的な具体例から考えてみましょう。

税務署ではよくあることなのですが、
直近の申告書を見て、税務代理権限証書にある
税理士に連絡をしたところ、
「私はすでに関与していません」
と言われることがあります。
最近になって税理士が代わったケースです。

では、このように税務署が税務代理権限証書
を信じて連絡したことは違法行為かといえば、
誰も違法行為とは考えないでしょう。最近
税理士が代わったことはわからないからです。

また、税務代理権限証書を添付しているから
といって、常にその税理士が税務調査に
立会うかといえば、そうでもありません。

特に大きな会社になると、税理士の関与度合いが
高くないことから、税理士が立会いをしない
というケースもありますし、税務調査だけ
違う税理士ということもあり得ます。

このように具体的な事案で考えると、
税務署としても、税務代理権限証書だけを
信じて連絡することは実務上はムリがあって、
納税者本人に連絡しなければわからない
ことも多くあるわけです。

そもそも、「税務代理」とは何か?
ということになるわけですが、
日税連のサイトには下記のように記載があります。

「4.税務代理権限証書は必ず添付しよう」
http://www.nichizeiren.or.jp/suggestion/1-13/4.html
「税務代理とは、税理士の立場で、委嘱者のために
事務を処理する業務委嘱契約に基づいて行動すること
であり、その行為は民法の委任の規定に従う。」

納税者が税務に関して税理士に委任していることを
証するために税務代理権限証書を
添付・提出するわけですが、一方で委任をしたら
絶対に「代理権」があるわけではありません。

代理権(限)とは、納税者が
「(今回のことは)税理士に任せていますよ」
と示すから明確になることです。

上記の通り、税務代理権限証書を添付しても、
現時点ではすでにその税理士に権限がない
場合もありますし、今回の税務調査では
代理権(限)を付与をしないこともあり得ます。

話がややこしくなりましたが・・・

まず、税務代理権限証書が提出されていても
税務署が納税者に対して直接連絡すること
自体は違法とはなりません。

そして、税理士が対応するのであれば、
税務署から納税者に連絡があった場合に、

「(税務代理権限証書の通り)税理士に
任せているので、そちらに連絡してください」

と言ってもらうことになります。
これによって税務署側も、税理士に
代理権があることが明確になるのです。

顧問税理士としては、税務署からの
連絡はすべて税理士にして欲しい、と
思うのは当然なのですが、もし
顧問先に直接税務署から連絡があった場合
の対応方法まで指導しておくべきでしょう。

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一切受け付けておりませんのでご留意ください。

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