税務署からの電話連絡で具体的な誤り事項・金額を指摘されれば加算税が課されるのか?
※2023年1月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
株式会社KACHIELの久保憂希也です。
個人の確定申告や3月決算法人など、春は
申告数が増えますので、今回は申告内容に関して
税務署からの電話連絡において、具体的な誤りを
指摘された場合の加算税に関して説明します。
なお、調査・行政指導の区分と加算税の関係については
本メルマガで何度か取り上げていますが、さらに
掘り下げて解説するため数回に分けて配信します。
まず、大前提となる理解ですが、提出した
修正申告に加算税が課されるかどうかは、
●調査があった修正申告=加算税あり
●調査がない修正申告=加算税なし
と区分できます(国税通則法第65条第5項)。
一方で、「調査」とは意外にその範囲は広く、
一般的な事前通知~臨場を伴う税務調査(実地の調査)
だけではなく、電話や郵送・書面であったとしても
「調査」に該当する場合もあります。
「調査」とは具体的に何なのか、もしくは
逆に「調査に該当しない」行為については、
下記の法令解釈通達が存在します。
「国税通則法第7章の2(国税の調査)関係
通達の制定について(法令解釈通達)」
1-1と1-2
さて、ここから実務上よくある論点です。
申告後間もなく税務署から「申告内容が
間違っていると思うので確認してください」
と電話連絡があり、その指摘通りに誤りがあって
修正申告を提出することになったとします。
一般的には、税務署職員の対応として
●申告内容に関して疑義があり確認や質問の
結果として、実際に誤りがあると判明した場合
⇒
税務署の指摘はあくまでもきっかけであって、
最終的には税理士(納税者)が自身で誤りに気付いた
という判断で「調査がない修正申告=加算税なし」
となることが多い
●申告内容に関して資料せんなど国税内部の
情報に基づいて誤りを指摘してきた場合
⇒
税務署側が具体的な事項やその金額まで指摘した誤り
であることから「調査があった修正申告=加算税あり」
となることが多い
というのが現実的な対応となっていますが、
これは判断基準が明らかに間違っています。
上記通達1-2(1)ロや(2)にあるとおり、
電話連絡が「提出された納税申告書の自発的な見直しを
要請する行為」なのであれば、調査に該当しませんので
修正申告に対して加算税は課されないことになります。
下記国税の内部規定でもこのように記載されています。
「税務調査手続等に関するFAQ(職員用)
【法人課税事務関係】」(平成24年11月)
問1-8 要更正連絡せんに基づき行政指導として
自発的な見直し要請を行う場合、非違が疑われる事項
や金額等について、納税義務者に説明してもよいか。
(答)
自発的見直し要請においては、誤りがあるのではないか
と思料する具体的な事項や金額等を納税義務者等に
示すことは差し支えないが、課税標準等を認定する目的で
質問検査等を行い確定的に非違事項を説明しているとの
誤解を招かないよう留意する。(以下、略)
このように、電話口で税務署側から具体的な指摘を
受けたかどうかと、調査かどうか=加算税あり・なし
は関係ないということです。
税務署職員が「この修正申告には加算税が課されます」
と言っても、その電話連絡が調査かどうかが
不明瞭な場合、反論は可能=加算税が課されない場合が
多いので、実務上ぜひ気を付けてもらいたい論点です。
来週水曜の本メルマガでは、同じく税務署からの
連絡により修正申告を提出した場合の加算税に
関して、さらに実務上の論点を取り上げます。
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一切受け付けておりませんのでご留意ください。
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