税務署の扶養是正はいつ・どうやって?
※2019年3月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
株式会社KACHIELの久保憂希也です。
個人の確定申告が終わったばかりの時期なので、今回はよく質問される、税務署が実施する「扶養是正」について解説します。
確定申告の依頼を受け、配偶者・被扶養者の所得を確認をするのは当然ですが、ここで顧問先から「所得は無い」と言われれば、それを信じて配偶者・扶養控除をとるわけです。
一方で実は、配偶者や被扶養者に所得があった場合、税務署はそもそも気付くのか、気付くとしたらどうやって気付くのか、という論点です。
そもそも、税務署としては配偶者・被扶養者が所得税の確定申告をしていなければ、所得制限を超過しているかどうかはわかりません。
また、生計を一としながらも別居しており、別の税務署に確定申告をしている場合も、(確認しようと思えばもちろんできますが)所得超過の事実はわかりません。
ですから基本的には、同一住所で確定申告されている場合を除き、税務署が行う扶養是正は市区町村からの連絡によるものです。
市区町村から税務署に対する扶養是正の連絡は、毎年5〜6月にまとめて行われますが、被扶養者が何らかの事情で遅れて住民税の申告をする、もしくは雇用者が遅れて源泉徴収票等を提出する場合、その時期より遅れる可能性もあります。
先週水曜に配信した「確定申告で誤りに気付いた税務署が取る3パターン」と同じですが、税務署が市区町村から扶養是正の連絡を受けても、すぐに扶養是正の連絡等をするかどうかは、税務署内の判断によります。
例えば、単年度だけの扶養是正である場合は、あえて連絡せずに、複数年になった場合にまとめて処理することもありますし、調査選定にして調査で処理することもあります。
実際に過去あった質問・相談の中では、
「別居の母親を扶養控除にいれていて、税務署から是正連絡等を受けたことがないので、所得超過していることがわかっていたが、毎年扶養控除に入れていたところ、税務調査に入られて当初から5年分が調査対象となった」
というものがあります。これは、税務署が単年での是正をあえてせずに、複数年まとめたうえで、税務調査の選定に挙げた典型的なケースです。
調査官からすれば、他に否認項目がなくても最低限扶養控除を否認することができますから、「おいしい」調査事案といえるでしょう。
確定申告時において、被扶養者の所得まですべて確認できるわけではありませんが、扶養是正をきっかけとして税務調査に入る場合もありますから、顧問先には被扶養者の所得について注意喚起する必要があります。
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