税務署は源泉の支給額・税額・法定調書を突合しているのか?
※2020年1月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
株式会社KACHIELの久保憂希也です。
早いもので1月末となり、納特を終えて
法定調書等の提出期限が迫っている時期です。
さて、源泉所得税に関して法定調書を作っていると、
過去の源泉納付書の記載誤りに気付くことがあります。
よくあるのは、下記のような事例です。
・過去の支給額が誤って記載されている
・ただし、納付税額は誤っていない
・法定調書(合計表)とは支給額が合わない
⇒
法定調書の支給額が正しく、また
税額は各源泉納付税額と合計が一致する
このような場合、是正措置をとるべきでしょうか?
また、税務署は金額が相違することによって
税務調査の選定事由とするのでしょうか?
結論からすると、各源泉納付書における
支給額と税額の不一致に関して気付けませんし、
また各源泉納付書の合計額と法定調書(合計表)
をKSKなどで突合していませんので、
この齟齬に気付くこともありません。
もちろん、自身で源泉の納付税額に誤りがあった
ことに気付けば、自主的に源泉の期限後納付、
もしくは過誤納申請をすることになります。
「No.2506 源泉所得税及び復興特別所得税を納め過ぎたとき」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2506.htm
一方で上記事例のように、支給額に誤りが
あるものの、税額自体に誤りがないという
ことであれば、是正は不要となります。
また上記の通り、そもそも税務署は
支給額・税額・法定調書を突合してないので、
この記載誤りを理由に税務調査の選定に
かかることもありません。
この点、支給額の記載が間違っていることは
気にする必要はないことがわかります。
なお、少し話は逸れますが、国税が
マイナンバーと法定調書を活用した
過少・無申告の把握につとめています。
説明資料〔税務行政の現状と将来像〕
(平成29年9月26日 国税庁)
https://www.cao.go.jp/zei-cho/content/20170927_29zen11kai3_2.pdf
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この施策はあくまでも、提出された法定調書を
名寄せ・突合することで、「支給を受けた側」
の売上・収入を把握するためのものであり、
上記のように支払側の突合・不一致を
確認するためのものではありませんので、
今後も税務署は、提出された源泉の支給額・
税額・法定調書を突合はしないでしょう。
源泉の場合、表面的には不明なことが多く、
国税は実際に税務調査に入ってみないと
確認できないスタンスです。
1月のこの時期だからこそ気付く
源泉誤りも、是正を要するかどうかで
判断していただければと思います。
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