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2022.06.10

税務調査で「指導に留める」は是認通知書が出ないのか?

※2021年6月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

株式会社KACHIELの久保憂希也です。

今回のメルマガでは、調査手続きを理解している方であれば
実務上よく疑問に感じる「指導に留める」と、その場合の
税務署内の処理、さらには法的理解を解説します。

まず、税務調査の終了は下記の3パターンしかありません
(根拠条文:国税通則法第74条の11第1~3項)。

1 是認
2 更正
3 修正申告

税務調査において、本来は誤りがあるものの
調査官から「指導に留める」と言われる項目があります。
その多くは、期ズレで次期に解消されることが確実とか、
消費税・源泉などで税額が過少なケースかと思います。

「指導に留める」とは、確かに誤りがあるものの
更正も修正申告も要しないということですから、
法的には「是認」に分類されることになります。

是認の場合は、法的には是認通知書を出さなければ
ならない規定になっていますが、調査官からは
「指導に留めるので是認通知書を出しません」
と言われる場合も多くあります。

この場合の税務署内の処理は下記となります。

・KSK上は是認で処理
・是認通知書は送らない
・指導事項を調査事績に残す

ただし、これはあくまでも実務上の処理であって、
法的にいえば間違った処理になります。なぜなら、
是認では是認通知書を出さなければならないからです。

国税の内規でも下記と規定されています。

「税務調査手続等に関するFAQ
(職員用 共通 平成24年11月 国税庁課税総括課)」
問4-6 指導事項があった場合はどのように対応するのか。
(答)
改正通則法第74条の11第1項には、「国税の実地の調査
の結果、更正決定等をすべきと認められない場合には、…
書面により通知するものとする。」と規定されており、
指導事項があった場合に、当該通知の対象外とする規定は
設けられていません。したがって、指導事項があったとしても、
最終的に更正決定等をすべきと認められないと判断した
場合には、その旨を書面により通知する必要があります
(その際、指導事項として指摘した内容を、当該書面に
記載する必要はありません)。なお、納税義務者に対する
指導事項の説明は、調査結果の内容説明の前の段階で
説明する必要があります。

では・・・税務調査において本来誤りがある事項について
調査官が「指導に留める」としながらも
「是認通知書を出さない」と言った場合、
顧問税理士として是認通知書と求めるべきでしょうか?

確かに、法的にいえば是認通知書は出されるべきですが、
現実的に考えて是認通知書を求めるべきではないでしょう。

なぜなら、是認通知書を求めれば、調査官は
「では、誤りがあるのですから修正申告してください」
と方針変更してくる可能性が大だからです。
こうなると、顧問税理士としては藪蛇になるだけです。

法的には「指導に留める」という行為は無いわけですが、
これはあくまでも納税者有利な実務上の処理ですから、
あえて手続き論を追求せず、そのまま
受け入れておいた方が得策でしょう。

※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

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