税務調査で絶対に言ってはならない言葉
※2017年12月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
株式会社InspireConsultingの久保憂希也です。
早いもので、もう年末ですね。
いまだ仕掛中の税務調査も完全に終盤です。
(でなければ、年越し事案ですね・・・)
さて、私は毎日のように多数の税務調査の
質問・相談を受けていますが・・・
「それは税務調査で言っちゃいけないよ」
と思う言葉があります。
その典型例が・・・
「前回の調査では指摘されませんでしたよ」
です。
法的に考えても、前回の調査が申告是認であれ
修正申告であれ、どんな形で終わっていたとしても、
時効を迎えていない限り、是正はできるわけです。
修正申告に更正の請求ができるのと同じように、
修正申告に対して修正申告や更正もできます。
上記の言葉を言ってはいけない理由は2つあります。
(1)調査官の感情を逆撫でする
税務調査は毎回、担当調査官が違うわけです。
今回担当している調査官からすれば、
前回担当をしていないので、前回の経緯や
細かい事情などは知る由もありません。
「前回の調査では指摘されませんでしたよ」
と言われれば、調査官としては
「じゃあ今回ですべて正しい処理に是正しましょう」
としか言えないわけです。
間違っても、「前回指摘されていないのであれば
今回もいいです」とは言わないでしょう。
感情的になりやすい調査官であれば、
下記の(2)のように対応しようとするでしょう。
(2)調査期間が延伸される
事前通知において通知された調査期間が、
調査着手後に延伸される要件は、
国税通則法第74条の9第4項に規定されています。
簡単にいえば、調査対象期間において、
「さらに過年度にも非違が疑われる」
状況となれば、調査期間が延びる可能性があります。
極端なことをいえば、さらに過年度に
誤りがあることが明白であっても、
調査官は調査期間を延ばさないこともできます。
しかし、です。納税者・税理士が
「前回の調査では指摘されませんでしたよ」
などと言うのであれば、調査官としては、
「では調査対象期間を延ばしましょう」と
言い出す可能性が高くなります。
実際に同じ処理が過年度もされているわけですから、
法的要件を満たしており、まさに
「やぶへび」状態に陥るわけです。
実際のところ、前回の税務調査で指摘されなかった
こと自体は「ラッキー」だと思っておき、
あえて調査官に伝える必要性などないのです。
税務調査は、いわば調査官との駆け引きという
観点も多分にあるわけです。
調査官の感情を逆撫でするような発言は
あえてしない、ということも大事なのです。
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