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2021.04.02

税務調査と行政指導を区分して考える(5)

※2019年7月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

株式会社KACHIELの久保憂希也です。

税務署が行う行為は、大きく

〇税務調査

〇行政指導

の2つに分けることができます。
(厳密には書面添付制度の「意見聴取」がありますが
これは税理士法に定める行為なので省略します)

「税務調査」を定義するのはなかなか難しいのですが、
国税側がよく使う「調査宣言」をされたものが
税務調査と考えればわかりやすいと思います。

国税通則法施行令第27条第3項において、
「実地の調査において質問検査等を行わせる旨」
と規定されており、調査通知をした後に
修正申告をすれば5%の加算税が課されること
からも、調査宣言があってはじめて
税務調査といえることがわかります。

一方で「行政指導」ですが、税務調査以外に
税務署が行う行為全般を指しています。

この区分・区分けを考えることは意外に大事です。
例えば下記の行為はどちらに該当するでしょうか。

「消費税の還付申告を行ったが、その後
税務署から追加資料の提出を求められた」

すでに解説したとおり、調査宣言をされておらず、
机上での審理をするために必要な書類を
請求されたわけですから、この行為は
税務調査ではなく行政指導に該当します。

この区分ができると、下記の理解に至ります。

「いったん還付を受けた後に、税務調査が入って
還付内容の是正を受ける可能性もある」

納税者(税理士)の立場から立つと、
具体的な資料まで提出したのだから、その還付は
「税務署のお墨付きをもらった」と
考えがちですが、これは違うということです。

また、還付申告の資料提出は行政指導ですから、
税務調査をされたことにはなりません。

すでに税務調査が終わった同一年分について、
再度税務調査をするには「再調査」として
要件が規定されていますが、これも
行政指導を受けた(資料の提出を求められた)
こととは別途の行為ですので、再調査にも
該当しないことが理解できます。

「再調査の要件」
http://kachiel.jp/blog/%E5%86%8D%E8%AA%BF%E6%9F%BB%E3%81%AE%E8%A6%81%E4%BB%B6/

税務調査と行政指導の区分は実務上
加算税が課されるかが焦点になります。

「調査と行政指導の区分」
http://kachiel.jp/blog/%E8%AA%BF%E6%9F%BB%E3%81%A8%E8%A1%8C%E6%94%BF%E6%8C%87%E5%B0%8E%E3%81%AE%E5%8C%BA%E5%88%86/

一方で、消費税還付のみならずですが、
資料の提出要請などは行政指導になりますから、
「その後も税務調査でひっくり返される
可能性がある」と考えておかねばなりません。

なお、税務調査と行政指導の区分については、
法令解釈通達と事務運営指針に定義されて
いますので、下記を併せてご覧ください。

「国税通則法第7章の2(国税の調査)
関係通達の制定について(法令解釈通達)」
1-1と1-2
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kobetsu/zeimuchosa/120912/01.htm#a01_1

「調査手続の実施に当たっての基本的な
考え方等について(事務運営指針)」
第2章1 「調査と行政指導の区分の明示」
https://www.nta.go.jp/law/jimu-unei/sonota/120912/index.htm

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