税務調査における調査官・統括官の評価軸
※2020年7月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
株式会社KACHIELの久保憂希也です。
税務署内は7月10日(先週金曜)に異動を終え、
例年であれば事前通知が活発に行われている時期
になるわけですが・・・さすがに今年は
税務調査も先送りの事案が多いようです。
さて、今回のメルマガでは「税務調査において
調査官や統括官はどのような内容が評価対象
になるのか?」について解説します。
まず、調査官の評価対象は「増差所得」であって
「増差税額」ではありません。
これは繰越欠損金などがあって税額が発生しない
事案であっても調査を行うからです。
では、事前通知後で実地調査開始前に、
事前の修正申告をした場合、評価対象は
どうなるのでしょうか?
調査官の評価対象はあくまでも「税務調査に
おける修正申告(または更正)」なので、
原則として加算税の有無が基準になります。
例えば、税務調査に関係なく修正申告が
提出されれば、増差所得が発生するものの、
加算税は課されませんので、誰の
評価対象にもなりません。
また、申告後の電話連絡等で誤りを指摘し、
修正申告の提出になっても、「行政指導」
であれば加算税は課されないわけですが、
これはあくまでも「事後処理」に分類され、
評価の対象にはなりません。
現在は、事前通知後・実地調査開始前の
修正申告には5%の加算税が課されますので、
これは調査官の評価対象になります。
次に統括官ですが、部門をまとめる責任者
であることから、部門全体の増差所得が
統括官の評価対象になります。
ただし、統括官はマネジメントの職責が
大きいため、税務調査でのクレームなどは
減点要因になることは知っておくべきでしょう。
最後に、評価要因として増差所得に加えて
「重加算税の賦課率」が挙げられます。
これは「額」ではなく「率」です。
国税庁は毎年、法人調査事績における
「不正発見割合」を公表していますが、
調査官にとっては非常に大きな評価軸です。
税務調査において、増差所得が発生しない・
少額であっても、重加算税を賦課した
のであれば評価としては大きな加点です。
調査官がどのような評価をされているか
知ることは、税務調査において調査官の
狙いを把握することに繋がりますので、
ぜひ知っておいてください。
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