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2021.05.28

税務調査の対象から外れる年分の資料提示

※2019年8月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

株式会社KACHIELの久保憂希也です。

税務調査の対象年分は、事前通知された年分
(通常は3年・3期)となることから、調査官から
対象年分ではない年分の資料等の提示を求められた場合、
「原則として」断ることができます。

一方で、この原則には例外が存在します。
大きく2つに分けて考えてみましょう。

○調査対象年分より過去分

まず、下記のFAQをご覧ください。

「税務調査手続に関するFAQ(一般納税者向け)」
https://www.nta.go.jp/information/other/data/h24/nozeikankyo/ippan02.htm#a09
問9
X年度の税務調査を行うという事前通知を受けましたが、
調査の過程でX年度よりずっと以前の帳簿書類等を
提示するよう求められました。これはX年度以外の
税務調査を行っていることになりませんか。
(回答)
例えば、X年度の減価償却費の計上額が正しいかどうかを
確認するため、その資産の取得価額を確認するために
取得年度の帳簿書類等を検査する必要があるといった場合
のように、調査担当者がX年度の申告内容を確認するために
必要があると判断したときには、X年度以外の帳簿書類等の
提示等をお願いすることがあります。
これはあくまでもX年度の調査であって、X年度以外の
調査を行っているわけではありません。

このように、調査対象年分より以前の資料等を
確認しなければ、調査対象年分の所得・税額を
確認できないような場合は、提示義務があります。

○進行年分・進行期

調査対象年分は直近で申告した年分も含まれますので、
それよりも後の年分となると、いわゆる
「進行年分・進行期」も調査対象になり得ます。

これについては、下記に過去メルマガを挙げておきます。

「進行年分の調査は認められるのか?」
http://kachiel.jp/blog/%E9%80%B2%E8%A1%8C%E5%B9%B4%E5%88%86%E3%81%AE%E8%AA%BF%E6%9F%BB%E3%81%AF%E8%AA%8D%E3%82%81%E3%82%89%E3%82%8C%E3%82%8B%E3%81%AE%E3%81%8B%EF%BC%9F/

また、期ズレについては重加算税に該当しないと
下記の事務運営指針に定められていますので、
あえて進行期の処理・帳簿などを提示することが
重要になる局面もあります。

「法人税の重加算税の取扱いについて(事務運営指針)」
https://www.nta.go.jp/law/jimu-unei/hojin/100703_02/00.htm
第1 3
(1)売上げ等の収入の計上を繰り延べている場合に
おいて、その売上げ等の収入が翌事業年度
(その事業年度が連結事業年度に該当する場合には、
翌連結事業年度。(2)において同じ。)の収益に
計上されていることが確認されたとき。
(2)経費(原価に算入される費用を含む。)の
繰上計上をしている場合において、その経費が
その翌事業年度に支出されたことが確認されたとき。

直近の申告年分において期ズレを証明するためには、
進行期の収益計上・支出の事実を提示することで、
期ズレ=重加算税ではないことを主張できるわけです。

全体的な結論としては、【調査の対象年分における
所得・税額を確認するために必要なのであれば】、
対象年分から外れている年分の資料等も
提示しなければならない、ということです。

事前通知の調査対象年分に固執するあまりに、
誤った主張をしてしまうケースも多いように
思いますので、ぜひ注意してください。

※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

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