2018.05.30

税務調査の3ヵ月ルール

※2017年11月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

株式会社InspireConsultingの久保憂希也です。

あまり知られていませんが、国税内には
税務調査における「3ヵ月ルール」が存在します。

税務調査は法的には、調査開始から
○ヶ月・○年以内に終わらなければならない、
という規定がありません。

一方、税務署では「3ヵ月ルール」を原則としており、
【調査開始から3ヵ月を超える調査事案については、
統括官の決裁が必要】とされています。

ですから、調査官としては、税務調査を
いつまでも延ばしていいとは考えておらず、
長引く調査であったとしても、1つの基準を
調査初日から「3ヵ月」と捉えています。

もちろん、調査事案によっては、

・資料などが膨大
・資料が揃っていないため反面調査が必要
・さらに時間をかければ増差が見込める

というものが存在しますので、3ヵ月を超える
調査があるのも事実です。

しかし、調査官も3ヵ月を超えるだけで、
統括官に対して、長期化している正当な理由と
根拠を示してから統括官の決裁を得なければ
ならないため、手続きが面倒であるとともに、
統括官が許可しなければ、調査を終わらせなければ
ならない状況に追い込まれるのです。

統括官が「3ヵ月ルール」を決裁するのに、
もっとも柔軟なのは重加算税が見込まれる事案。

重加算税を賦課できる調査事案は、
所得の認定とともに、仮装・隠ぺいの事実認定が
必要になり、そもそも時間を要するものですし、
何より重加算税の賦課ができるのであれば、
それだけで自身の評価が高くなりますので、
「時間をかけて良し」としやすいわけです。

裏を返せば、重加算税が見込まれるような事案
ではない、増差所得もそれほど高く見込めないような
調査事案であれば、統括官は決裁しづらいですし、
その内情を調査官もよくわかっています。

税務調査が2ヶ月程度に長引いた場合に、
調査官から「そろそろ調査を終わりにしたいので」
と言って、折れてくるケースがありますが、
それはこの「3ヵ月ルール」を守ろうとする
調査官の意図がはたらいているのです。

税務調査は基本、臨場2日+交渉時間、
で終わるのがベストなのですが、
否認指摘の項目が多かったり、調査官と
見解の隔たりが大きい場合には、あえて
引き延ばすことで、「3ヵ月ルール」を
利用した有利な交渉ができることもあります。

「3ヵ月」は調査官の重要な目安ですので、
このルールを知っているだけで税務調査を
有利に進めることができます。
ぜひ知っておいてください。

※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

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