税務調査は何をもって終わりになるのか?
※2017年7月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
株式会社InspireConsultingの久保憂希也です。
税務調査はいつをもって正式に終わりとなるでしょうか?
これを理解していなければ、どの期間・どのようなケース
において質問検査権が行使されており、受忍義務が
あるのかを判断することはできません。
例えば、ですが・・・
法人内において対面で税務調査を
受けている間だけが税務調査なのでしょうか?
もしくは、事前通知において「2日間」と決めた場合、
その2日間だけが税務調査であって、2日間の
実地調査が終われば受忍義務はないのでしょうか?
よくある質問ですが、
「調査が始まってすでに半年が経ちました。
3ヵ月も税務署から連絡がないのですが、これは
税務調査が終わったと理解していいのでしょうか?」
残念ながら、これらのすべてが間違った解釈です。
税務調査は、その終わりとなる「行為」を
定めていますが、その「時期」は定めていません。
税務調査の終了に関しては、3つの手続きが
定められており、この3つのどれかの手続きが
なされない限り、調査は終わっていないと理解できます。
条文を確認してみましょう。
国税通則法第74条の11(調査の終了の際の手続)
1 税務署長等は、国税に関する実地の調査を行つた結果、
更正決定等をすべきと認められない場合には、
納税義務者であつて当該調査において質問検査等の
相手方となつた者に対し、その時点において
更正決定等をすべきと認められない旨を
書面により通知するものとする。
2 国税に関する調査の結果、更正決定等をすべきと
認める場合には、当該職員は、当該納税義務者に対し、
その調査結果の内容を説明するものとする。
3 前項の規定による説明をする場合において、
当該職員は、当該納税義務者に対し修正申告又は
期限後申告を勧奨することができる。この場合において、
当該調査の結果に関し当該納税義務者が納税申告書を
提出した場合には不服申立てをすることはできないが
更正の請求をすることはできる旨を説明するとともに、
その旨を記載した書面を交付しなければならない。
簡単に言い換えれば、
1 申告是認
2 更正
3 修正申告の勧奨
の3つの行為です。
国税内部の規定においても、
下記のFAQが載せられています。
「税務調査手続等に関するFAQ(職員用)」【共通】
(平成24年11月 国税庁課税総括課)
問4−54
調査を中断した場合、改めて実地の調査を行うに当たり、
再調査の適否判定は必要か。
(答)
調査を中断した後において、調査を再開することは、
調査を終了しておらず、再調査には該当しないことから、
再調査の要否判定は必要ありません。
税務調査の終わりは、事前通知の期間でもなければ、
長らく連絡がないから終わるのでもありません。
上記3つの行為がなければ、
税務調査は法的に終わっていないのです。
ぜひ、この点は理解していただきたいと思います。
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