税務調査中にお尋ね書面の提出を求められた場合
※2019年8月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
株式会社KACHIELの久保憂希也です。
今年は例年以上に税務調査が前倒しで実施されている
ことから、8月上旬にしては税務調査での
悩み・問題を抱えている税理士が多いようです。
さて今回は、調査中にお尋ねの書面提出を
調査官から求められた場合の対応と、
その反論根拠について解説しましょう。
税務調査の最中に「お尋ね」を要請されるので
不思議な感じがしますが、具体的には
「代表者及び家族の個人資産等についてのお尋ね」
というタイトルの書面が存在します。
この書面は、法人に対する税務調査を実施し、
その中で代表者とその親族の資産状況について
詳しく問う内容となっています。
〇本人含めた家族の収入
〇代表者の過去5年分の所得
〇預金・有価証券・不動産・貸借関係等
一般的な「お尋ね」は税務調査に関係なく、
郵送等でくるものですが、調査中に書面提出を
求められると「提出しなければならないのか?」
と判断に迷うことになります。
答えは「この書面に回答義務はない」
「提出する必要はない」「断ることができる」
なのですが、その論拠を理解することが大事です。
提出する必要がない根拠は大きく2つあります。
(1)任意か強制(義務)か
このお尋ね書類は、国税通則法第74条の2に定める
質問検査権の行使ではなく、あくまでも行政指導の
一環として提出を要請されているものです。
調査範囲内であれば、調査官もわざわざ別途の
お尋ねなど持ってくる必要はないわけです。
あくまでも提出は「任意」となりますから、
応じる必要はないことになります。
なお、調査官がそれでも書面提出について
食い下がってくるようであれば、こう対応しましょう。
「この書面は任意ですか?それとも強制ですか?」
「提出義務があるというならその根拠を示してください」
(2)質問検査権の対象範囲外
法人に対する調査を行っているにも関わらず、
代表者やその親族など個人に関する情報については
調査の対象範囲外になります。
調査官としては、代表者やその家族個人の
所得・資産状況から、法人に関する端緒を
見つけたいのでしょうが、これは明らかに
調査対象から外れている要請でしょう。
質問検査権の対象者から外れているわけですから、
提出義務はないことがわかります。
上記タイトルの書面だけではなく、
調査中に提出を要請された書面については、
その提出義務があるのか無いのかは
都度判断する必要があるので注意してください。
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