• HOME
  •  › ブログ
  •  › 税務調査終了の際の手続き(相手方・再調査)
2022.11.04

税務調査終了の際の手続き(相手方・再調査)

※2021年11月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

株式会社KACHIELの久保憂希也です。

毎週金曜の本メルマガでは、税務調査を体系的に理解する
内容を連載で解説していますが、ここまで数回にわたり
解説してきた「税務調査終了の際の手続き」の最終回です。

まず、税務調査終了の際の手続きは、原則として
納税者に対して行うこととされています。
これは国税通則法第74条の11第2項において、
「当該職員は、当該納税義務者に対し、その調査結果の
内容を説明するものとする。」と規定されているからです。

一方で、納税者自身が調査結果の説明を受けることなく、
代わりに税務代理人(税理士等)が受けることも
可能なのですが、それには別手続きが必要になります。

国税通則法第74条の11第5項
実地の調査により質問検査等を行つた納税義務者について
第七十四条の九第三項第二号に規定する税務代理人が
ある場合において、当該納税義務者の同意がある場合には、
当該納税義務者への第一項から第三項までに規定する通知等
に代えて、当該税務代理人への通知等を行うことができる。

この法律規定にある「納税義務者の同意がある場合」
ですが事務運営指針では下記と定められています。

「調査手続の実施に当たっての
基本的な考え方等について(事務運営指針)」

第2章 4(5)
「電話又は臨場により納税義務者に直接同意の意思を
確認する方法、又は、税務代理人から納税義務者の同意を
得ている旨の申出があった場合には、同意の事実が確認
できる書面の提出を求める方法のいずれかにより行う。」

なお、この「書面」のフォーマットについては、
日税連のサイトよりダウンロードが可能です。

さて、次に「再調査」の規定を解説します。
「再調査」とは一般的な呼称ですが、すでに
税務調査を実施した年・事業年度について、再度
税務調査を実施する場合に要件・制限があります。

国税通則法第74条の11第6項
第一項の通知をした後又は第二項の調査(実地の調査に
限る。)の結果につき納税義務者から修正申告書若しくは
期限後申告書の提出若しくは源泉徴収等による国税の納付が
あつた後若しくは更正決定等をした後においても、
当該職員は、新たに得られた情報に照らし非違があると
認めるときは、第七十四条の二から第七十四条の六まで
(当該職員の質問検査権)の規定に基づき、当該通知を受け、
又は修正申告書若しくは期限後申告書の提出若しくは
源泉徴収等による国税の納付をし、若しくは更正決定等を
受けた納税義務者に対し、質問検査等を行うことができる。

この規定により、一度税務調査が終了すると、「新たに
得られた情報に照らし非違があると認めるとき」以外は、
再調査することができないことが規定されています。
事務運営指針も併せて確認しましょう。

「調査手続の実施に当たっての
基本的な考え方等について(事務運営指針)」

第2章 4(6)
更正決定等をすべきと認められない旨の通知をした後又は
調査(実地の調査に限る。)の結果につき納税義務者から
修正申告書等の提出若しくは源泉徴収に係る所得税の納付が
あった後若しくは更正決定等をした後に、当該調査の対象
となった税目、課税期間について質問検査等を行う場合には、
新たに得られた情報に照らして非違があると認める場合に
該当するか否かについて、法令及び手続通達に基づき、
個々の事案の事実関係に即してその適法性を適切に判断する
(手続通達6-7、6-8、6-9)。

上記カッコ書きの通達規定については引用すると
長くなりますので、下記から規定をご確認ください。

「国税通則法第7章の2(国税の調査)等関係通達
の制定について(法令解釈通達)」6-7~

税務調査の実務では、予定調和的に修正申告で
結了することが多いわけですが、税務調査終了の手続きも
学んでみると意外に細かく規定されていますので、
ぜひ全体として理解してください。

※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

著者情報

久保憂希也

毎週水曜日に配信する『税務調査対策のメールマガジン』では、最新の税務調査事情はもちろんのこと、調査官の心理、税務署のウラ側など元国税調査官だからこそ語れるマニアックなテーマまでをお届けします。
「こんなことまで話して本当に大丈夫ですか?」 と多くの反響を頂く税理士業界では話題のメルマガです。
お名前とメールアドレスを登録するだけで 毎週【 無料 】でメルマガを配信いたします。