税務調査開始後の修正申告はいつの段階で加算税が課されるのか?(前半)
※2023年5月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
株式会社KACHIELの久保憂希也です。
修正申告を提出した場合における加算税(が何%か)については、
古い論点ではありながらも、税務調査の実務・実例に即して考えると、
なかなか判断が難しい論点でもあります。
修正申告にかかる過少申告加算税が「0%」「5%」「10%」
と区分される基準については下記をご覧ください。
※以後「更正の予知」という重要ワードが頻出しますが、
その定義については下記記事を参考にしてください
さて、上記記事(過去のメルマガ記事)でも取り上げています、
加算税を規定した事務運営指針においては、
【調査開始後の修正申告については加算税10%を課す】
(更正の予知があったものとみなす)という書きぶりとなっています。
「法人税の過少申告加算税及び無申告加算税の
取扱いについて(事務運営指針)」
第1 1
通則法第65条第1項又は第6項の規定を適用する場合において、
その法人に対する臨場調査、その法人の取引先の反面調査又は
その法人の申告書の内容を検討した上での非違事項の指摘等により、
当該法人が調査のあったことを了知したと認められた後に修正申告書が
提出された場合の当該修正申告書の提出は、原則として、これらの
規定に規定する「更正があるべきことを予知してされたもの」に該当する。
(注)臨場のための日時の連絡を行った段階で修正申告書が
提出された場合には、原則として「更正があるべきことを
予知してされたもの」に該当しない。
では、実際の法律規定はどのようになっているのでしょうか
(カッコ書きを除きます)。
国税通則法第65条第5項
第一項の規定は、修正申告書の提出が、その申告に係る
国税についての調査があつたことにより当該国税について
更正があるべきことを予知してされたものでない場合において、
その申告に係る国税についての調査に係る第七十四条の九
第一項第四号及び第五号に掲げる事項その他政令で定める
事項の通知がある前に行われたものであるときは、適用しない。
このように、修正申告に対して(過少申告)加算税を
課す(課さない)要件として、
(税務)調査があったか否か
⇒
(納税者の)更正の予知があったか否か
で判断する(これを二段階要件説といいます)、つまり
税務調査が実際に行われたか/行われていないのか、
行われたとするのであれば次の判断基準に移行し、
更正の予知があれば加算税は10%となり、
更正の予知がなければ加算税は5%に減免される、
というのが法律規定であり、正しい理解になります。
あくまでも、「税務調査開始(臨場)=更正の予知」
ではないことを、現段階では理解してください。
税務調査の現場・実務において、この論点が重要になる
場面として、調査開始後に「重加算税になる(かもしれない)」
計上漏れや過大計上が発覚し、いまだ担当調査官が
その事実を認知していないようなケースでしょう。
論点が、過少申告加算税10%⇒5%というだけであれば
それほど躍起になって(調査中に)修正申告する意味はない
のかもしれませんが、重加算税35%⇒過少申告加算税5%
ということであれば、かなり大きな差になります。
上記記事にもありますが、「調査通知後であっても、
更正の予知前に提出した修正申告であれば重加算税は
課されない」からです。
さて、来週水曜の本メルマガでは、調査中の修正申告提出は
いつまでが更正の予知に該当するかについて、
もう少し掘り下げて解説していきます。
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一切受け付けておりませんのでご留意ください。
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