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2016.05.13

税理士がどこまで調査代理できるのか?

※2014年12月の当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

私は本ブログやメルマガ、セミナー等で、

「できるだけ納税者に立ち会わせることなく、
(税務代理権限を持つ)税理士だけで
税務調査を終わらせるべきだ」

と伝えています。

しかし、実務上ここで問題になるのは、調査官から

「納税者に会って直接話が聞きたい」

「納税者でなければ事情・事実がわからないのだから
納税者に直接会わなければ調査にならない」

と要請されるケースです。もちろん、
この辺りは調査官の事情、例えば、

・納税者であればうっかり発言をするかもしれない

・税理士が納得しなくても納税者本人が
 納得して修正をするかもしれない

という思惑が存在することも内心としてわかります。

税理士法第2条により、納税者に代わって税務代理を
することができるわけですから、税務調査においては
「原則として」税理士だけで対応することが可能です。

1点だけ、注意点があります。
まず、「調査の終了の際の手続」を定めた
下記条文(一部のみ)をお読みください。

国税通則法第74条の11第5項
実地の調査により質問検査等を行つた納税義務者について
第七十四条の九第三項第二号に規定する税務代理人がある
場合において、当該納税義務者の同意がある場合には、
当該納税義務者への第一項から第三項までに規定する通知等
に代えて、当該税務代理人への通知等を行うことができる。

この条文にある「第一項から第三項」とは、
申告是認の通知・更正の説明・修正申告の勧奨です。

この条文では、税務調査終了時における説明等を、
誰に対してすべきか定めたもので、
「納税義務者の同意がある場合には」税理士に
調査終了の処理に関して説明できるとされています。

裏を返せば、同意がなければ代理権限を持っている
税理士も、調査終了の際だけは納税者の代わりに
説明を受けることができないというわけです。

では、ここにいう「同意」とは、どのような
方法で行うのでしょうか。
税務代理権限証書ではダメなのでしょうか。

簡単な解説が下記にあります。

「税務調査手続に関するFAQ(税理士向け)」
https://www.nta.go.jp/sonota/sonota/osirase/data/h24/nozeikankyo/zeirishi.htm#a14

税理士向けFAQ 問14
納税者の方の同意がある場合には、税務代理人は
顧客納税者の方の代わりに調査結果の内容説明等を
受けられることとなっていますが、税務代理権限証書を
提出していれば同意があるとされるのでしょうか。
税務代理権限証書に同意がある旨を明記した場合はどうでしょうか。

(答)
調査結果の内容説明等は、納税者の方に税務代理人が
いる場合でも、原則として納税者の方ご本人に対して行います。
ただし、当該調査結果の内容の説明を、納税者の方に
代わって税務代理人に説明してほしいという納税者の方の
明確な意思表示がある場合には、納税者の方に代わって
税務代理人に調査結果の内容の説明を行うこととしています。
したがって、調査担当者は、税務代理権限証書が
提出されている場合であっても、調査結果の内容説明等を
行う前に、納税者の方に直接同意の事実を確認する方法、
又は税務代理人を通じて同意の事実を証する書面の提出を
求める方法により、納税者の方の同意があることを
確認することとしています。また、仮に税務代理権限証書に
調査結果の内容説明等について同意する旨が明記されていても、
改めて、調査結果の内容説明等を行う時点で同意の有無を確認します。
なお、実地の調査以外の調査の場合には、調査結果の内容説明等
の時点で納税者の方の同意を直接確認することが困難なときも
ありますから、そのようなときには、税務代理人を通じて
納税者の方の意向を確認できれば、
税務代理人に対して説明を行うこととしています。

現実の税務調査において、全調査官がここまで
要求してくるかどうかはともかく、法的規定もしくは
内規には、税務代理権限とは別個に
意思確認が必要とされているわけです。

合わせて、下記事務運営指針もお読みいただければ
理解が深まると思います。

調査手続の実施に当たっての基本的な考え方等について(事務運営指針)
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/jimu-unei/sonota/120912/

(5) 税務代理人がある場合の調査結果の内容の説明等
実地の調査における更正決定等をすべきと認められない旨の
書面の通知、調査結果の内容の説明、修正申告等の勧奨、
修正申告等の法的効果の教示及び教示文の交付
(以下「通知等」という。)については、原則として
納税義務者に対して行うのであるが、納税義務者の同意が
ある場合には、納税義務者に代えて、税務代理人に対して
当該通知等を行うことができる。
なお、この場合における納税義務者の同意の有無の確認は、
①電話又は臨場により納税義務者に直接同意の意思を確認する方法
又は、
②税務代理人から納税義務者の同意を得ている旨の申出が
あった場合には、同意の事実が確認できる書面の提出を
求める方法のいずれかにより行う。

調査終了の際の手続きだけは、別規定が
存在しますので、調査対応には注意が必要です。

※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

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