粉飾なのに修正申告の勧奨はアリか?
※2017年8月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
前回は、
「調査で粉飾を伝えると税金は還付されるのか?」
として、粉飾における調査時の注意点を解説しました。
引続き、今回も粉飾に関する内容を解説します。
さて、粉飾している会社に税務調査が入った場合でも、
粉飾の部分を除いて調査をすれば、
誤りや漏れが見つかるのがむしろ普通です。
例えば、
・粉飾の金額:500
・誤り・漏れによる増差所得:300
である場合、選択肢は2つあり得て、
(1)粉飾部分を是正するつもりがない(銀行の手前上)
ので、+300で修正申告をする
(2)増差税額を払いたくないので、粉飾である
事実を告げて△200で減額更正をしてもらう
ということが考えられます。
(1)を納税者(調査対象者)自身が要請するのであれば
話はわかりやすいのですが・・・
(2)と要請した場合に、調査官の中には、
「故意に粉飾決算をしているのだから、
国税としては粉飾している部分を勘案せず、
誤り部分だけで修正申告してもらう」
と強硬に主張しているケースがあります。
もちろんこれは、何が何でも
修正申告と取りたい調査官の言い分であって、
正しい主張ではありません。
税務調査とは、自ら計算・提出した申告内容の、
課税標準(所得)または税額等が正しいかを確認し、
それを正しい金額に是正することが目的です。
税務調査を実施した結果として、
所得・税額がプラスになるなら
修正申告を勧奨するのは当たり前ですが、
一方でマイナスになるようなことがあれば、
それを知った調査官はあくまでも、
【あるべき金額に是正する】必要があるのです。
結果として、減額更正になるとしても、です。
また、事実関係をきちんと認識すべきですが、
【一の課税期間に対して正しい金額に是正するのは
1つの行為・処分】であって、2つは存在しません。
誤り・漏れ部分を修正申告しておいて、
同時に粉飾部分を減額更正はないのです。
(時系列として後先があればもちろんできます)
あくまでも、是正は一回の行為で行われるため、
・トータルして所得・税額がプラス:修正申告
・トータルして所得・税額がマイナス:減額更正
となるわけです。
プラスとマイナスをムリヤリ切り分けるのは
調査官の詭弁に過ぎません。
粉飾している場合に、(2)と主張して通らない場合でも
調査官の言い分は信じないようにしてください。
※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。