経済的利益が生じない社宅家賃の設定について
※2019年8月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
株式会社KACHIELの久保憂希也です。
経済的利益を考えるうえで、実務上頻出するのは
「社宅家賃」の設定でしょう。
節税策が少ない今となっては、社宅活用による
経営者の節税メリットは大きいです。
今回は、社宅家賃を設定するうえで経済的利益が
生じない「賃貸料相当額」について解説します。
一般的には、役員に対する社宅家賃徴収額を
実家賃の50%に設定しておけば、
経済的利益はないものとみなされますので、
このように処理している方も多いはずです。
一方で実際のところは、固定資産税の課税標準額
を使って計算した方が、賃貸料相当額を
抑えることができる場合の方が圧倒的に多く、
経営者(顧問先)には有利になります。
「No.2600 役員に社宅などを貸したとき」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2600.htm
固定資産税の課税標準額は、所有者(家主)が
知るところですので、所有者に聞くことが
原則となりますが、教えてくれない場合であっても
その対応方法はあります。
平成14年度税制改正により、借主であっても
「固定資産課税台帳の閲覧」もしくは
「固定資産の評価額等の証明」の制度を
活用することで、借りている社宅の
固定資産税の課税標準額を知ることができます。
(地方税法第382条の3・地方税法施行令第52条の15)
「平成14年度地方税制改正について」
http://www.soumu.go.jp/news/011225a.html
における「二・I・6」
この場合、借主であることを証明する必要が
ありますので、市区町村に賃貸借契約書を持参し、
閲覧もしくは証明を受けることになります。
なお、ここにいう「固定資産税の課税標準額」は、
「固定資産税評価額」や「課税台帳に登録された価格」
ではありませんから、住宅用地等に対する課税標準の
【特例を適用した後の額】(実際に賦課される
固定資産税額に係る固定資産税課税標準額)
になりますので、注意してください。
固定資産税の課税標準額から賃貸料相当額を
計算した場合、実家賃の10%程度になる
ことが多く、50%負担との乖離は大きいです。
最近は、大型マンションの管理会社などであれば
固定資産税の課税標準額を把握している
ことも多く、「賃貸料相当額を計算するために」
と聞けば、教えてくれるケースが増えましたが、
家主によっては教えてくれないケースもありますので、
上記はぜひ活用していただきたい点です。
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