締日を超えた調査は年越しに
※2016年12月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
株式会社InspireConsultingの久保憂希也です。
あまり知られていないことですが、
税務署には毎月「締日」というものが存在します。
「締日(しめび)」とは・・・
税務署の中で毎月設定されている日程で、
「この日までに修正申告書等を処理しなければ、
当月分の処理とみなしませんよ」という日になります。
締日は毎月設定されているのですが、
調査官の中でもっとも気にするのが12月の締日。
なぜなら、この日をもって国税内の
上期(7月〜12月)の調査件数が決まるからです。
調査官は各自、上期で○○件の調査をする、
というノルマを持っています。
この件数ノルマをクリアするのが、調査官として
最低限の調査業務とさえ言えるものです。
(増差がいくらというのはそのあとの話です)
ですから、毎年のことではありますが、
12月頭になって急に調査を終わらせるよう
調査官が焦った行動に出ることもあるわけです。
「○日までに調査を終わらせましょう」
「今週中に修正申告を提出してください」
など言い出すのは、締日があるからです。
なお、毎月20日前後に設定されている締日も、
12月は年末の休みが関係しているので、
毎月よりも早く、中旬に設定されています。
(税務署ごとによって若干のズレがあります)
今日(12月14日)時点で、調査の結了が
見えていない事案については、「年越し」が
決定しているともいえます。
よく聞かれるのですが、「年越しする調査案件は
珍しいのですか?」という質問。
原則として、年内に着手した調査事案は
年内に終わらせようとするのが調査官です。
調査官の個人的心情としても、調査をすべて結了して
きれいに上期を終えたいと考えています。
一方で、他の事案を(余分に)結了させて、
上期の調査件数をクリアしている場合は、
年内にどうしても終わらせようという
インセンティブがはたらかないこともあります。
年越しになったから何か不利益があるわけでは
ないのですが、上期の締日を超えたということから
調査が長期化する危険性はあります。
締日を知っておくと、調査官が終わらせたい時期に
有利な交渉をすることもできますので、
ぜひ知っておいてください。
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