脅しの言葉に反論する根拠法律
※2017年4月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
株式会社InspireConsultingの久保憂希也です。
確定申告も終わり、また調査の時期が来ました。
私への質問・相談も件数が増えましたが、
その中で調査官が「脅しの言葉」を使う事案があります。
典型的なものが・・・
「修正申告しないのであればもっと細かく調査して、
調査日数も増えるし税額も増えますよ」
「修正申告しないのであれば重加算税を課しますよ」
など、調査官が(間接的にではあっても)
修正申告の提出を強要してくるようなケースです。
さて、このような「脅しの言葉」に対して
どう反論するか・できるかが大事なのですが、
これには法律規定がきちんと存在します。
まず、修正申告の勧奨について
法律規定を確認しておきましょう。
国税通則法第74条の11第3項
(調査の終了の際の手続)
前項の規定による説明をする場合において、
当該職員は、当該納税義務者に対し修正申告又は
期限後申告を勧奨することができる。(以下、略)
この法律規定からわかる通り、税務調査は
(非違があれば)あくまでも国税が更正する
ことを前提にしており、その代わりとして
国税は納税者に対して(納得しているのであれば)
「修正申告を提出してもいいですよ」
と言える、というのが修正申告の勧奨なのです。
裏を返すと、勧奨を受けて提出したからこそ
修正申告を提出すれば不服申立てできないわけです。
ですから、修正申告の勧奨は法律行為として
「行政指導」に該当することになります。
さて、行政指導に関する法律規定は
行政手続法に定められています。
行政手続法第32条(行政指導の一般原則)
行政指導にあっては、行政指導に携わる者は、
いやしくも当該行政機関の任務又は所掌事務の範囲を
逸脱してはならないこと及び行政指導の内容が
あくまでも相手方の任意の協力によってのみ
実現されるものであることに留意しなければならない。
2 行政指導に携わる者は、その相手方が
行政指導に従わなかったことを理由として、
不利益な取扱いをしてはならない。
この法律規定を税務調査に置き換えると、
「納税者が修正申告の勧奨に従わなかったことを
理由として調査官は不利益な取扱いをしてはならない」
となるわけです。
税務調査でよくある修正申告の提出を条件とした
調査官から提示されるバーターですが、
これらの行為は明らかに質問検査権の範囲を
超えている違法な行為(発言)になります。
こういった脅しに屈しないように、
行政手続法も知っておく必要があるのです。
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