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2023.04.21

自己株式の取得に関する税務・法務上の留意点

※2022年5月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

税理士法人レディングの木下でございます。

今回のテーマは
「自己株式の取得に関する税務・法務上の留意点」です。

・個人が発行会社に取得してもらうケース
・法人が発行会社に取得してもらうケース
どちらもあるかと思いますが、
今回は前者(個人)を取り上げます。

自己株式が登場する場面としては、
以下の4パターンがあります。
1.自己株式の取得
2.自己株式の保有
3.自己株式の処分
4.自己株式の消却

論点豊富なのは
ダントツに1.(取得)になります。

まずは・・・
個人が発行会社に自己株式の取得を実行する
理由の多くは「資金調達」にあるかと思います。

税理士としては、
みなし配当課税(所法25(1)五)
が思い浮かぶかと思います。

そのため、総合課税されてしまうため、
タックスメリットを考えると
多額の実行はしにくい側面があります。

ただし・・・
その中でも相続発生時に相続人が取得した
同族会社株式を発行会社に取得してもらう
ケースだけ相続税申告期限の翌日以後
3年を経過する日まで実行すれば
「譲渡所得課税」になるため、
非常に使いやすいものとなります
(措法9条の7)。

そのため・・・
相続税の納税資金確保の手段として
利用されることが多くなります。

注意すべき点としては、
所轄税務署への届出が必要であり
イレギュラーな手続であるため
期限管理に注意する必要があります。

具体的には・・・
非上場株式の発行会社に提出し、
当該発行会社は譲り受けた日の
属する年の翌年1月31日までに
本店又は主たる事務所の所轄税務署長
に提出しなければなりません。

詳細は以下をご参照ください。
国税庁HP

次に・・・
法務で留意すべき点を確認します。

1.特別決議(会309(2)二)
→ 特定株主からの取得(会156(1)、会160(1))
2.分配可能額の確保(会461)
3.売主追加請求権の存在(会160(2)(3))
→ 株主の相続人その他の一般承継人から
取得する場合は不要(会162)

税理士として実行支援する場合、
税務処理(別表調整含む)に注意を払いますが、
法務に関する手当が手薄になる傾向があります。

その中でも、上記手続の中でも
1.特別決議(会309(2)二)
3.売主追加請求(会160(2)(3))
は手薄になりがちです。

3.に関しては、相続時には不要となりますが
こちらは、あくまで例外規定になりますので
売主追加請求があるのが原則として
常に留意する必要があります。

特に、少数株主がある場合には
リスクが顕在化しますので、
しっかりと弁護士のサポート
を受ける必要があると考えます。

税理士は全ての窓口業務を担うからこそ
留意すべき点であると考えます。

自己株式の取得の実行支援をする際には
税務だけでなく法務手続にも
留意していただければと思います。

※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

著者情報

木下勇人

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