調査中に関連会社への調査開始はアリか?
※2019年11月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
株式会社KACHIELの久保憂希也です。
法人に対する税務調査で気をもむケースとして、
関連会社(親子会社のみならず資本関係が同一の
兄弟会社を含む)に対する同時調査があります。
関連会社に対しても同時に事前通知があったのであれば
一斉調査としてあきらめざるを得ませんが・・・
今回は調査に入った後、関連会社に対しても
調査着手されるパターンについて解説します。
まず、税務調査に着手されているA社に、
関連会社のB社があるとします。
A社とB社に取引がある、もしくは
金銭の貸借がある場合、B社は
反面調査の対象となり得ます。
これは関連会社ではない場合と同じで、
取引または金銭授受がある以上、反面調査先として
質問検査権が及ぶことが法的に定められています。
(国税通則法第74条の2第二号ロ)
一方で、下記のような場合はどうなるのでしょうか?
・A社の税務調査に顧問税理士だけで立会っていた
・調査官が関連会社B社に調査宣言をすると言った
・調査官はB社の帳簿書類を見たい思惑(と推察)
これは調査宣言(調査の事前通知)ですから
反面調査ではなく、B社に対する同時調査です。
この行為を法的に考えると、
・B社の顧問税理士はA社と同じ
・税務代理権限証書の「調査の通知に関する同意」
にレ点を入れて提出している
のであれば、調査官がB社に調査宣言せず
顧問税理士に調査宣言している以上は
法的に問題なく、B社の税務調査も
受けざるを得ないことになります。
B社の顧問税理士が同じではなくても、
同じ管内であれば同じ調査官が別途
事前通知することになるでしょうから、
結論は結局同じ(調査を受ける)ことになります。
さて、その場で調査宣言された税理士として
できる(考え得る)対応は、
「では、別途日程調整させてください」
として、先延ばしにすることでしょう。
通常の税務調査と同じで、事前通知を受けて
日程調整すればいいわけで、何も
その場でB社の帳簿等を提示する
必要性(義務)はないわけです。
関連会社に対しても同時に調査されることは
受忍義務がある以上、断れないことは明白ですが、
せめてその場で対応せずに、先延ばしして
対応せざるを得ないでしょう。
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