調査官が発言を翻意したらどう対応すべき?
※2017年4月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
株式会社InspireConsultingの久保憂希也です。
税務調査においてトラブルになりがちなのは、
調査官が言ったとおりに進めていたところ、
後になってその発言を訂正・翻意されることです。
納税者・税理士としては当然に、「一度そのように
言ったんだから後で翻意されても困る!」となるわけです。
税務調査において、調査官が無責任に
発言の内容を変えることができ、発言に責任を
持たないのであれば、納税者としては
何を信用していいのかわかりません。
さて、税務の領域にも「信義則」が適用されます。
この点を知っておくことが重要です。
民法第1条第2項
権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない。
これは「信義誠実の原則」とも呼ばれており、
公開裁決の中にも、この分類があることからも、
税務においても適用があることがわかります。
http://www.kfs.go.jp/service/MP/01/0203010000.html
信義則といっても、調査官が発言を訂正する行為
すべてに適用されるわけではないことは、
さすがに現場の常識として理解できるとは思います。
品川芳宣先生が税務大学校の助教授時代に書いた論文
「税法における信義則の適用について」
−その法的根拠と適用要件ー
https://www.nta.go.jp/ntc/kenkyu/ronsou/08/67/ronsou.pdf
にも載っていますが、税務において信義則が適用されるのは、
下記の要件を満たした場合と考えられています。
(1)税務官庁の何らかの言動があったこと
(2)その言動に際し、納税者側に責めらるべき理由がないこと、
(3)納税者がその言動を信頼するに無理からぬ事由があること
(4)納税者がその信頼で裏切られることにより被る
不利益の程度が大きなものであること
税務調査において、調査官との交渉の中で
(特に納税者有利に)進んでいた話があって、
それが後になって翻意された場合、
とりあえず「信義則(信義誠実の原則)違反」
であることを主張すべきです。
また、調査官に信義則の話が通じない場合、
過去に発言したこと、そしてその発言を
翻意した事実を確認したうえで、上司である
統括官に掛け合ってでも主張・交渉すべき論点です。
ぜひ、実践してください。
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