調査官の職歴を調べる(後編)
※2016年4月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
株式会社InspireConsultingの久保憂希也です。
調査官等の職歴から、税務調査を事前に予想する
ことが大事であることを、さらに深掘りしていきます。
※前編は「調査官の職歴を調べる(前編)」をご覧ください。
(2)統括官の職歴を調べる
調査官の職歴を調べることも重要ですが、
税務調査において担当調査官と折り合いがつかない場合、
その上司(決裁者)である統括官と交渉することになります。
だからこそ、担当調査官のみならず、統括官の
職歴も合わせて事前にチェックしておく必要性があります。
また、現実的に考えると、税務調査をどこまでやるのか
(反面調査や質問応答記録書の作成など)は
統括官の指示で行われることが通常です。
調査官自身は深掘りする必要性がないと思っても、
統括官が調査官に「事実認定が甘い!」など、
(調査官の意に反しても)
指示することが往々にしてあるわけです。
特に、統括官が資料調査課や査察経験が長い場合は、
「激しい」調査を指示している場合があります。
担当調査官が話がわからない、といってあえて
統括官に抗議に行ったら、むしろ統括官の方が
話が通じない、ということもあり得るわけです。
交渉相手を誰にするか(担当調査官であえて終わらせるか、
統括官に言った方が話が早いのか)を判断するためにも、
統括官の職歴も事前チェックが必要なのです。
統括官の職歴として、(税務署の)上席から順当に
統括官になっている場合は話がわかる方が多いはずです。
(3)部門をチェックする
職員録によっては部門の役割が載っているものもあります。
特にチェックしておくべきは、「特別調査部門」です。
この部門は、特官部門の事案よりも小さい
(売上・従業員数など)けれど、現金商売や
不正発覚率が高い業種(飲食店や風俗・産廃など)を
中心に、税務調査を行っている部門となっています。
(法人課税にも個人課税にも存在しますが、
小さい税務署だと2部門が兼ねていることもあります)
特別調査部門の調査は、基本2〜3人で調査を行っており、
事前通知がないケースが多いのですが、
事前通知があった場合でも、強硬な調査を行いがちです。
(そういった意味で、税務署における料調
とも呼ばれていますし、実際に料調出身者が多いです)
特別調査部門の調査は荒くなることが多いため、
質問検査権を逸脱した調査を行わないか、
税理士としては厳しくチェックしておく必要があります。
2回にわたって、「調査官の職歴を調べる」重要性と
そのポイントを伝えてきました。
税務調査の深度を事前に、ある程度予測することは
可能ですし、調査現場における交渉相手を
職歴から読むこともできるのです。
ぜひ、参考にしてください。
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