調査手続きの違法性は調査中に問うべき
※2016年12月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
株式会社InspireConsultingの久保憂希也です。
このメルマガを継続して読んでいただいている方であれば
税務調査の手続きに関する知識はあるものと思います。
一方で、手続きに関する知識があればあるほど、
現実の税務調査では、手続き違反の調査が
横行していることに気付くことになります。
例えば、
・事前通知の漏れ・不足
・調査期間を延伸すための要件を満たしていない
・留置きに対する対応
・調査終了の際に行われる調査結果説明の不足
などがその典型例でしょう。
実際に調査手続き違反があった場合の対応ですが、
「調査の過程において」交渉の材料に使うべきです。
明らかな誤りを除いて、軽微な誤り、もしくは
見解の相違の否認指摘に対しては、
「調査手続きに違反がありましたよね?
ですからこの調査は法的に成立していないのでは?」
と主張することによって、否認指摘の取り下げ
などを狙うべきなのです。
ここで、完全に否認内容が固まってから
調査の最終最後になってから、調査手続き違反を
主張する方がいますが、それは交渉の
タイミングとしては遅すぎるといえます。
なぜなら、調査手続き違反に関して
判決や裁決の結果・内容をみると、
調査全体が「違法=無効」と判断されることは
非常に稀で、ほぼ納税者が負けています。
最近の裁決(通則法改正以後の調査)において、
調査の終了の際の手続について争った事例が
ありますが、やはり納税者が負けています。
「請求人に対する決定処分は、違法な調査に
基づいて行われたものではないとした事例」
(平成28年5月20日裁決)
http://www.kfs.go.jp/service/JP/103/01/index.html
もちろんこれは、「出るところに出れば」
の話ではあるのですが、税務署としても
調査手続きに多少の違反があるだけで、
調査全体が違法(=無効)まではされない、
ことは知っているわけです。
一方で、現場の調査官としては、自らが
手続き違反をした事実に対して当然に
引け目を感じていますから、調査現場での
交渉材料としては有効、ということなのです。
「交渉」という機微をともなう行為ですが、
有利な材料をいつ出すかで調査結果が変わります。
ぜひ参考にしてください。
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